他の登山者の登り方、あるいは駅などで階段を登る人を見て思うところがあるので書く。
いかに登れば良いのか
登りに使われる筋肉
多くの人は太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を主な筋肉として登るときに使用している。登りでその筋肉をパンパンにする人も要るのではないだろうか。しかし、基本的に太ももの前側の筋肉は車で言うところのブレーキに相当する機能を持つ。止まるために使う筋肉である。特にくだりでは重力に対してブレーキをかけながら歩いていくので、大腿四頭筋をよく使う。山をくだる時に太ももの前側の筋肉が震えてきたり、力が入らなくなってきたりする経験を登山者なら一度ならず経験しているのではないだろうか。くだりに備えて登りでは大腿四頭筋にはあまり筋力を発揮させないようにセーブしておく必要がある。
どんな時に大腿四頭筋が使用されるか
大きめの段差を登るときに脚にグッと力を入れて、体を上に持っていく際にかなりの負荷が大腿四頭筋に掛かっている。登りで大腿四頭筋の使用感がわかりやすいのはこの動作をした時かと思う。また、球技などで走ってきて、急停止する際に太ももの前の筋肉に大きな負荷がかかる。
階段を踏み鳴らして登る人
特に駅の階段を登っている人を見ると、一段一段をバンバンと大きな音で踏み鳴らして、大きく上下動をしながら登っていく方が多い。明らかに大腿四頭筋の過剰使用である。脚を次の段に置いたときにバンと音が鳴る。そのときに大腿四頭筋がその衝撃を吸収するために筋肉が力を使う。そして身体を上に持ち上げるために再度大腿四頭筋が筋力を発揮する。筋肉は二度手間をかけている。それゆえに上下動が発生しているのではないかと思われる。
登りで使うべき筋肉
ではどうすればよいか。太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)を使用するとよい。ハムストリングスは陸上競技の100m走でも重要視される、前に進むために必要な筋肉である。車で言うとアクセルに該当する機能を持つ。速く走るためにも重要な筋肉であるが、前に進むこと全般に重要な筋肉である。
ハムストリングスの使い方
どうすれば使えるのか。具体的な登り方は前に置いた脚のスネを地面と垂直にして、後ろの脚を前に持ち上げることである。持ち上げる際に前傾姿勢になり、膝も合わせて前に進みやすいので、スネを垂直のままキープすることに意識を置いてほしい。後ろの脚が前の脚を追い越すあたりまではキープするように意識するとよい。以下の図を参考にしてほしい。
慣れないうちは上のように90度に保ったまま、後ろから脚を持ち上げてくることは難しいが、日々の階段などで意識的に続けていけば、徐々に軽やかに階段を登れていることに気がついてくる。
注意すべき点がある。以下の図のように前傾姿勢になってしまうことである。前傾になると膝も前に出る。膝が前に出ると太もも前の大腿四頭筋を優位に使用してしまい、登りがギクシャクする。
片脚を台の上に置いて、体を前傾させると膝の上部、大腿四頭筋が緊張してくることがわかると思う。前傾すると大腿四頭筋が体の支えになってしまい、ハムストリングスを有効に使えないということが実感できると思う。一度、実際に試していただきたい。
ハムストリングスで登るとどうなるか
僕個人の経験であるが、登りは軽快に登ることができる。うまくハムストリングスが機能しているようで、登りが続くと太ももの前側よりもむしろ後ろ側の筋肉の方が疲労を感じ始める。疲労することには違いはないが、登りで大腿四頭筋をセーブして、くだりで力を存分に発揮できるので脚に力が入らなくなる疲労感を軽減できる。当然、登山をすれば疲労はするので、万能薬ではない。
うまく登ることができると脚がスッスッと前に進んで、軽快に歩むことができるので登山が気持ちよくなるので登り方を上達させることをオススメする。
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