経験則からくるものと、web上でよいのではないかと言うもの見つけたので紹介する。下りに困っている人は取り入れて見ると、これまでより楽に下りを進んでいけるかもしれない。
下りはつらい
なぜ下りは辛いのか
獲得した標高分の重力をブレーキをかけながら下っていく。ブレーキをかけるための筋肉、大腿四頭筋は尋常ではない苦行を強いられることになる。下りは大腿四頭筋が伸びながら筋力を発揮しなければならない。これを伸張性収縮という。伸びているのか縮んでいるのかわからない名前であるが、伸ばされながら力を入れる負荷は、普通に筋肉が収縮すりも負担が大きいのである。負担が大きい筋収縮を強いられるので、下りはつらい。
下りの辛さを軽減したい
僕自身の話をすると、正直下りは全く得意ではない。個人的な話から派生するが、登山では登りよりもむしろ下りが辛いという人は多いのかも知れない。その辛さを少しでも軽減できるようにに工夫を積み重ねてきたので、少しでも参考になれば嬉しい。より快適な登山を目指すための歩き方を2点提案をしたい。
腕を上げながら下る
腕の重量を一瞬棚上げする
体重計に乗ったまま腕を上に放り出すと一瞬体重が軽くなる。それを利用する。腕を放り上げた際の体重が軽くなった一瞬に下ると太もも前の筋肉にかかる負荷が腕の分だけ軽くなる。自然と習得している人もいるかも知れない。
腕の重さは全身の10%を超える重さ
腕の重さは個人差があるので正確には言えないが、体重60kgの人で9kg程度の重量があるらしい。以下は模式図なので、正確さには欠けるかもしれないが参考程度に見ていただきたい。
左の人が段差を降りる瞬間である。腕を上に持ち上げることで9kgを一瞬だけ身体から浮かすことができる。脚は60kgから腕の9kgを引いた残りの51kgを支えるだけで済む。それほど大きな差にならないかもしれないが、少なくとも数千歩はくだるので一歩当たり、15%も削減できるのは大きなメリットである。そして右の人の通り、太もも前の大腿四頭筋を使って下り切った後に両腕をおろしてきて51kgに9kgを加えて体重移動を完了させる。
実際に使用する
なぜ負荷が軽くなるかがイメージできれば、後は実践に移すのみである。劇的な変化は見られないかもしれないが、多少なりとも軽減できるところは軽減しておきたいので、一度試して見ることをオススメする。自分にあわないと思えばすぐに辞めてしまえば良い。
前傾姿勢で下る
後ろ向きに歩く
長い下りに疲労困憊になり後ろ向きで歩く。そのように試して見た人は少なからずいるかもしれないが、後ろ歩きで下るとかなり辛さが軽減される。上体が前傾する(進行方向とは逆)ことで重心が体重の支点(膝)と近くなるので、軽減されるようである。後で紹介する資料にもテコと説明されているが、重いもの近くにある方が持ち上げやすい。腕を伸ばした状態でダンベルを持ち上げるよりも、体の中心付近でダンベルを持ち上げた方が軽く持ち上げられる。それと同じことが下りで前向きに歩くか、後ろ向きに歩くかで違いが出る。
とは言っても後ろ向きに歩くことは登山中には危険である。比較的安全な場所であればよいが、山中でそのような場所はそれほど多くはない。練習をすれば、もしかすると可能かもしれないが、実用性には疑問が残る。
ではどうすればよいのか
その解決策としては後ろ向きでは体が前面に傾くことで、支点と筋力を発揮する位置が近づいたので楽になった。同様に前向きでも前傾姿勢をとればよい。あまり前傾させすぎると、バランスを失い転倒してしまう危険性があるので、注意は必要である。これについては以下を参照した。
http://www.ronenbyo.or.jp/hospital/tiikiriha/rehacolumn/rehacolumn_26.pdf
今回は自分の人体で実験ができる類のものである。自分で試して見て、有効なら取り入れ、効果がないならば取り入れない。取捨選択をして、自分に適合した歩き方を見つけていってほしい。
とどのつまりは鍛えるしかない
結局のところ、楽になるためには筋力をつければよいのだが、登山の筋力は登山で鍛えるしかない。毎日山に登るわけにもいかないので、技術的な改善方法を提案した。色々と試して楽なものを選んでいけば良いと思う。今回は2点紹介したが、積極的に試していただき、どちらかでも使っていただければと思う。くだりが辛いと山は楽しくなくなるので、少しでも快適に歩ける一助になれば幸いである。
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