登山のときはほとんどの方が登山靴で登るのではないだろうか。今回は地下足袋で登山することのメリット・デメリットを紹介する。
地下足袋は鳶職の方や農作業をされる方がよく履いている親指だけ分かれている履き物である。
地下足袋登山オススメの理由
地下足袋で登山をすると非常に気持ちがいいのでオススメである。オススメ理由は3つある。
・地面の感触が気持ちいい
・軽く歩きやすい
・足の筋肉を総動員できる
上記の理由を解説していく。
なぜオススメするのか3つの理由
地面の感触が気持ちいい
登山では様々な地面の感触を味わうことができる。落ち葉が積もったフワフワ、柔らかい腐葉土のモフモフ、ザレた砂地のザラザラ、ガレ場の岩のゴツゴツなど千変万化する地表面の感覚をダイレクトに味わうことができる。
当然、裸足で歩くことには敵わないが、登山靴出歩くよりは圧倒的に気持ち良く地表の感覚を味わうことができる。裸足で歩くと怪我をする危険性があるので控えた方が良いが、地下足袋では素足の感覚を疑似体験することができる。
足裏の感覚を研ぎ澄まして歩くのは非常に気持ちが良い。
軽く歩きやすいから
裸足で歩くのは気持ちがいいと思うが、裸足に近い感覚で歩くことができる。普通の靴でも歩く際にはかかとが邪魔になる。
個人的な観察と経験から、普通の靴はかかとが人間のかかとより出っ張っているので歩きにくさの原因になっている可能性がある。足裏全面で接地する場合も、踵から接地する場合も普通の靴の踵は人間の踵のように丸くなっていないので、スムーズな歩行の妨げになる。
地下足袋であれば、人間の踵に近い形をしているので、スムーズに地面に足を置き、体重移動を進めることができる。
また、足指が親指とそれ以外の指に分かれているので、つま先を有効活用した動きをすることができる。普通の靴ではあまり動かなくて良い足の指が歩くときに解放されている気持ちよさに気がつくはずである。
足の筋肉を総動員できる
登山靴の靴底は硬くなっている。それにより、多種多様な地表面でも一様な感覚で歩くことができるメリットがある。しかしメリットとデメリットは表裏一体である。
その分足裏を立体的に使うことは少なくなる。動きを制限することで、疲労や怪我のリスクを軽減している。特に足指まで使うことはないだろう。地下足袋では靴底が薄く柔らかいために、まさに裸足で歩くように筋肉が動員される。その感覚が気持ちいい。
地下足袋でなくとも、足の筋肉を総動員できる靴は販売されている。代表的なものがナイキのフリーシリーズであろう。素足マニアの僕としてもフリーは歩きやすい、走りやすい靴として愛用している。しかし靴底の薄いモデルであっても、地下足袋の素足感には敵わないというのが正直な感想である。
普通のスニーカーからフリーに変更してみて、歩きやすいと感じるのであれば、地下足袋に進むという段階的に移行することをしてみても良いかもしれない。フリーは地下足袋へのゲートウェイシューズになりうる。
地下足袋登山のデメリット3つ
ここまで地下足袋登山のメリットを紹介したが、こちらでは気をつけるべきデメリットを3つ紹介する。登山に登山靴が使用される厳然たる理由が存在する。道具にはメリットとデメリット、適材適所があるのでうまく使えば、さらに登山が楽しくなることは必至である。
長時間歩く登山は避けるべき
個人的には登山時間が2~3時間を越えてくると地下足袋で登るは難しいと思う。疲労が蓄積して、歩くことが苦痛になる可能性がある。
クッション性が無いに等しいので、地面からの衝撃がモロに来る。落ち葉や腐葉土の登山道であれば柔らかく歩きやすいが、そのような道ばかりではない。また、足裏にかかる体重が柔らかいソールであれば分散されるが、それがないので足裏が痛くなってくる。
特に舗装路は土と違って接地の衝撃を全く吸収してくれないので、地下足袋で歩くのはなるべく避けたい。
クッション性が無いことは、地面の感覚をダイレクトに伝えてくれるというメリットと表裏一体である。慣れれば問題はないのかもしれないが、慣れないうちは長い登山に使うのは避けることオススメする。
石や岩が多い山は避けるべき
不整地の中でも最も起伏のある、岩や石が多い道を歩く場合は捻挫の危険性がある。登山靴であれば、基本的にハイカットなので、足首が保護されている。
地下足袋では素足同然の守備力しか無いので、固い凸凹の道を歩くにはあまり適していない。また、尖った石などがある場合はクッション性が乏しいので、直接足つぼを押されるような痛さがある。
足つぼマッサージに慣れている人であれば、問題は無いと思うが、多くの人は尖った石の上を歩くのは痛いだろう。足ツボマットの上を歩く苦行になる可能性があるので、そのような道が予見される場合は避けた方が良い。
また、登山靴は石などの尖ったものから足を保護する役割もある。靴底も固いので尖った石の上でも難なく歩くことができるので、ゴツゴツした岩や石の道が長く続く場合は地下足袋は避けて、登山靴で登った方が良い。
渡渉箇所やぬかるみの多い登山道は避けるべき
基本的には地下足袋は防水ではないので、川を渡ったり、ぬかるみのある道を歩くには向かない。地下足袋が水に濡れたまま歩く登山は気持ちの悪いものになるだろう。そのような思いをするのであれば、登山靴を履いて登山する方が快適である。
以上3つの注意点を上げたが、それで登れないということはない。快適性が損なわれるので、控えるべきであると思う。
オススメの地下足袋(街歩きにも)
現在は街歩きでも使える地下足袋がある。おしゃれ地下足袋専門店でお気に入りの地下足袋を購入しよう。僕はこちらで買った地下足袋を普段使いにするとともに2〜3時間までの登山であれば使用することがある。
履きやすく、歩きやすいので非常にオススメである。また、スニーカーでは出せない個性を出せる。以下のようなおしゃれな地下足袋の専門店も存在する。こちらは奈良の店舗だが、各地に専門店はあるので、ぜひお近くの店舗を調べてみて、実際に確かめてみてほしい。
また、手に入れやすいのがワークマンの地下足袋であろう。近年、安さと機能性を両立してきたワークマンで長年にわたり使われてきた、安心と信頼の地下足袋をエントリーモデルとして購入するのも一興かと思う。
またアマゾンや楽天でも安価なものがあるので、こちらで購入してもよいと思う。一度試してみて気に入れば、専門店でデザインの優れたものを購入するのもオススメである。
ちなみに商品名の5枚というのは地下足袋が5枚入っているわけではなく、こはぜ(留め金)が5枚という意味である。下の写真は留め金が3枚のもの。3枚だとかなり短めで、くるぶし丈くらいである。
5枚あれば、くるぶしはすっぽり隠れるイメージでよいと思う。7枚あれば、ふくらはぎの膨らんでいるところの手前くらいまでの長さというイメージである。
下の写真はこはぜ(留め金)が7枚の地下足袋である。左のように7枚全てを固定してもよいが、例えば右のように4枚だけ固定して折り返して裏地の模様を見せればオサレ度があがる。
地下足袋は丈の長いほうがフィット感がよいと思えるが、実際に履いてみるとかかと部分がしっかり足にあっているかが重要になるので、こはぜ(留め金)の枚数の多い少ないは特に関係がない。
またコハゼが12枚のマルゴの地下足袋を使って山に登った感想を以下に載せる。スタンダードな地下足袋で、ここで書いたことと重複があるがご容赦願いたい。
その他
登山靴の機能性を再実感する。
なんとなく登山するには登山靴が必要と思って、登山靴を買っていた方も登山靴の重要性を感じるかもしれない。地下足袋で長く歩けば歩くほど、登山靴の重要性がわかってくる。
僕は正直最初は登山靴は必要ないのではないかと思っていた。登山するにあたって一応登山靴を買って、履いていくつか山を登っていたが、いまいち防水機能以外に必要性を感じていなかった。
逆に登山靴の価値がわかるようになる。固い路面ではむしろ邪魔なように感じる登山靴であるが、山ではその真価が発揮される。
初心者のうちは素直に登山靴を履いて、山になれることをオススメする。歩き慣れてきたら、地下足袋を履いて登山をすることを大いにオススメする。一度体験するとクセになることは請け合いである。
少々目立つ
僕は短時間の登山であれば、地下足袋で登ることがある。他の登山者にあった際に「足袋だ!」と言われることがある。登山中もファッションで目立ちたいという方は地下足袋を履いて登ってみると注目を集めるかもしれない。
個人的には地下足袋が市民権を得て、あまり目立たない存在になってくれると良いと思う。個人的にはそれほど目立ちたくはないが、機能的に優れているので履いてしまうのが地下足袋である。
総括
今回は地下足袋で登山することのメリットデメリットを紹介した。デメリットを容認でき、メリットを魅力に感じていただけるなら、ぜひ実際に地下足袋で登山してみてほしい。新感覚登山を敢行できるはずである。同志が増えることを期待する。
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