5月に現在も女人禁制が続く山上ヶ岳に登ってきた。今回は登り始めるまでと聖域の聖域たる所以を紹介する。
登山の始まり
登山ルートについて
天川村の大橋茶屋の駐車場(913m)から洞辻茶屋(どろつじちゃや)を経由して山上ヶ岳山頂(1719m)までの標高差800mの登山道を往復する。
大橋茶屋から清浄大橋を渡り3つの茶屋を通過する、おそらく最も一般的なルートから登る。看板等に素直に従って歩けば特に問題なく山頂にまで到達することができる。
駐車場について
大橋茶屋は登山道のすぐ近くなので、車が満車でなければ素直にここに止めればよい。駐車料金は1日で車が1000円、二輪車が500円である。駐車料金を入れる用の箱と封筒が用意されている。
500円を入れて封筒を投函しようしたところ、管理の方から「バイクの方は必要ないですよ」と言われた。看板には料金が書いてあるが、よくわからないが日帰りでバイクは無料らしい。
登山難易度は?
聖域なので危険なのかと思うかもしれないが、今まで登ってきた中でも屈指の登りやすさではなかったかと思う。一部注意が必要なところがあるにはあったが、それほど傾斜がキツくなく、長くもなくちょうど良い長さの登山道であった。
コースタイムは登り2時間半、下り2時間程度でコースタイム通りに登れる人であれば休憩を1時間程度と見て5~6時間の行程で楽しめると思う。
ちょうどいいところに屋根付きの休憩所があり、一休みしてから登ることができるので特に大きな疲労を残すことなく登れ、下山することができた。
聖域の聖域たる所以
女人禁制について
駐車場から橋を渡ると、有名な女人結界門が現れる。「従是女人結界」と大きい石塔から厳かな雰囲気を感じ取る。危険な山なので女性保護のために女人結果があると言われていたりするが、先にも書いたように登った感触ではそれほど危険な山には感じなかった。
女人禁制を続けているのは、女人禁制が続いているからというトートロジー的(小泉進次郎議員的)な結論に僕は至った。それ以上についてはウィトゲンシュタインのように「語り得ぬことについては沈黙しなければならない。」と思う。
各々思うところがあると思うが、男性諸君は登りながら、この案件については思索を巡らせてみてもよいかもしれない。
ようお参り
通常、登山ではすれ違う時に「こんにちは」と挨拶することがマナーのようになっているが、この山ではこんにちはとは挨拶しない。ここでは修験道らしく「ようお参り」と挨拶をする。
最初のすれ違いで「こんにちは」と挨拶すると「ヒョウ・マイリー」と言われて、何のこっちゃと思った。何人かに挨拶していると、「ようお参り」と言っているとわかった。
理解してからこちらかも「ようお参り」と言おうとしたら何故か小恥ずかしかったが、慣れれば特に問題はない。この山に登るときは「ようお参り」挨拶すれば万事滞りなく進む。
「こんにちは」といつも通り挨拶してもなんの問題もないが、雰囲気を味わうために、「ようお参り」と挨拶をすることをオススメする。一気に修験道を歩いている気分が高まる。
阪神の野球帽を被った年配の方もゼエゼエ言いながら「ようお参り」と挨拶されたが、そちらの方が「ようお参りやで」と思わずにはいられなかった。
大峯奥駈道(の一部)
大峯奥駈道とは奈良県の吉野から和歌山県の熊野本宮大社まで続く、約80kmの古道のことを言う。基本的に山の高いところを結んだ稜線といい、その稜線に沿って奥駈道がある。
大峰山というと一般に山上ヶ岳をを指すと言われているが、この奥駈道は大峰の山脈全体を意味する。そしてその厳しいルートを踏破する奥駈修行が存在する。
大峯奥駈道へは登山道の途中の洞辻茶屋から合流する。大峰奥駈道は稜線上の道でよく歩かれて、土がしまっており歩きやすい。落葉広葉樹の明るい樹林帯で爽やかな風が吹き抜ける気持ちのいい登山道である。
修行としての大峰奥駈道はまた異なるかとは思うが、一部を登山として歩いた感覚では楽しい道だと思った。
総括
他の山域とは違った独特の雰囲気を味わえる大峰山。その中でも核心部だと思われる山上ヶ岳。厳かな雰囲気が漂う山中であるが、奥駈道の稜線は明るい林床で気分良く歩くことができる。日本各地に修験道はあるが、この修験道特有の雰囲気がある。登れる人はぜひその独特な雰囲気を味わってみてほしい。
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