2022年10月16日の記録だ。今回は三重県いなべ市藤原町にある長楽寺から狗留孫(くるそん)岳に登って、そのまま烏帽子岳へ縦走してから岐阜県大垣市上石津町時山に下山した。そして舗装路を通って長楽寺に戻る周回ルートを歩いた。
狗留孫岳という一風変わった名前に興味を惹かれたので登ってみた。頂上のとなりの電波パネルのところからは眺望を楽しむことができ、烏帽子岳への縦走路は静かで歩きやすい道でよかった。
誰にオススメする山か
標高はそれほど高くはないので、すぐに登れる山である。眺望もよいので初心者が登って楽しむにもちょうどよい山だと思う。
・名前が気になる人
・手軽に登山を楽しみたい人
・軽く縦走したい人(烏帽子岳へ行く場合)
普通に登れば簡単な道になるが、道によってはかなり険しい道になるので、コースの選択は重要になる。
長楽寺から尾根線をたどるルートであれば難なく山頂にたどり着けるだろう。
竜王道は険しい道にになるので、慣れない人にはオススメしない。沢登りをする気持ちはなかったが、軽い沢登りのようなところもあった。
駐車場
長楽寺の駐車場を使わせていただいた。駐車場は広く、10月16日の11時ごろは他に2台しか車は停まっていなかった。
駐車場に行く道は少々狭いので気をつけて走行したい。
電車の駅からは遠く、バスの運行時間も利便性は高いとはいえないので、車でのアクセスが望ましい。
登山コース・コースタイム
長楽寺から時山までのコースタイムは4時間10分ほどとお手軽な縦走だ。
時山から長楽寺までは舗装路や未舗装路など登山道ではない道を2時間ほど歩いて戻った。
標高差
長楽寺(標高320m)→狗留孫岳(標高772m)→烏帽子岳(標高864.8m)
狗留孫岳までであれば標高さ450mほど、烏帽子岳まで行っても標高差550mほどで、それほどキツい登山にはならないだろう。
烏帽子岳に行く場合でも下りはそれほどなく、緩やかな登りが続くといった印象である。
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★
危険度★
疲労度については狗留孫岳への往復で3時間程度、烏帽子岳まで縦走して下山しても(駐車場に戻る時間を除く)4時間ほどの行程で手軽な登山だ。
登りがキツかったとしても、それはそう長くは続かないので頑張って登りたい。
危険度については危険箇所は無い。とはいえ山道ではあるので、注意して歩く必要はある。適当に歩けば、どの山のどの登山道でも滑落の危険性はあることは忘れないようにしたい。
ちなみに竜王道を歩く殊勝な方のために伝えると、竜王道の危険度は「★★★」である。若干沢登りのようになること、崩落した斜面の柔らかい土の上を歩き、斜面を登ることを考えるとそこそこ危険だ。あまりオススメできるコースではない。悪路好きなら是非登ってみてほしい。
登山コース
長楽寺→狗留孫岳 コースタイム1時間40分
まずは長楽寺に参拝する。静かなお寺だった。
参拝を済ませて、長楽寺の前の林道から登山を開始する。それほど長くはないが林道歩きが続く。
20分ほど林道を歩くと分岐が現れる。分岐というほど明確なものはなく、沢の方に目をやらなければ、そのまま林道を歩き続けてしまうだろう。
ロープがあったので、こちらのルートも存在することに気づいた。またYAMAPの地図にも赤い破線があったので、こちらのルートを選択することにした。
基本的には林道をそのまま歩くルートが基本になると思う。
沢の橋を渡り、ロープが見えた登山道を進んでいくが、ここを登山道と呼んでもよいのか迷う道だった。
踏み締める土が柔らかく、ほとんど人が歩いていないことがわかる。土が崩落した後、そのままの状態なのではないかというくらい柔らかく、歩きにくい。
慎重に進んでいく。
途中に沢が流れる岩の間を進んだ。今日は楽勝の登山道かと思っていたが、思ったより難易度の高いルートで興奮してきた。
うまく登ることができる岩が見つからなかったので、なんとかして岩にしがみつきながら登った。
続いて斜面を進んでいく。こちらも登山道というよりは崩落した斜面をそのまま横切るように進む。
土は柔らかく、どんどん崩れていくので歩きにくい。沢の中を歩いた方が歩きやすかったかもと思いながら進んでいく。
再び崩落した斜面を進んでいく。この道を進む人はどれくらいのものなのだろうかと思いながら登っていく。
ここも土が柔らかく、どんどん崩れていくので歩きにく。ここから左の支尾根に取りつく。
支尾根を超えるとまた急斜面を横切る。横切る位置のすぐ下はかなりの傾斜で滑落の危険性があるので注意して歩く。
ここにもロープが設置されている。要所要所でロープが整備されているので、危険な場合は安全に使えることを確かめた上で活用したい。
沢の水がなくなり、沢歩きは終盤戦である。ここからはそのまま沢を詰めるのではなく、右の斜面を登る。
またしてもただの斜面だ。特に登山道は何もなく、柔らかく滑りやすい斜面を登っていく。
ここもロープが設置されているので、目印にして登る。
斜面を登り終えると平坦な道に変わる。
竜王道はあと少しで終わりらしい。ここでのあと少しというのは山頂のことではない。
八大龍王尊の祠に到達する。祠は綺麗に整備されている。また隣の杉がかなり大きく、歴史をかんじさせる。
竜王道はこちらの祠につながる道として残っているようだ。おそらく危ないので他の道を使うほうが主流なのではないかと思う。
八大龍王尊から尾根をたどり、狗留孫岳へとつながる稜線へと出る。
ここからは鈴鹿の稜線の典型的な植生という感じで、落葉紅葉樹の森の中を気持ちよく歩く。
山頂へとまっすぐつながる稜線を歩く。右は杉の植林、左は広葉樹の二次林でコントラストが面白い。
山頂に到達!山頂の看板があるところには眺望はない。
山頂から見えるところに謎の板がある。後ほど調べたところこれは電波を反射させる無給電中継装置というもののようだ。
この板の実際のところはよくわからないが、山と山の間にある藤原町の電波を届けているのかと思う。
この反射板は国道306号から見えていて、通る時にいつも「なんだアレは?」と思っていたので近くで見ることができて少し嬉しい。
送電線の鉄塔の周りは木々が伐採されて見晴らしが良いことが多いが、この反板射の周りも見晴らしがいい。
藤原町や藤原岳などがよく見えていい展望台を持っている山だと思う。
ここで少々休憩してから烏帽子岳へと続く道をへ進んでいく。
狗留孫岳→烏帽子岳 コースタイム1時間
狗留孫岳から烏帽子岳への縦走路の最初はアセビの灌木の間を抜ける道になっている。
鈴鹿山脈ではよく見る光景で、登山道自体はしっかりと踏まれているので、迷うことはない。また長くは続かない。
登山道の上に張り出している枝葉を手と腕でかき分けて進んでいく。
途中オオセンチコガネを発見する。山を歩いているとよく見かけるが、キレイな緑色をしているので見つけると嬉しい。
烏帽子岳への道は平坦なところと、緩やかな登りで構成されていて、とても歩きやすい。
木々の間を気持ちよく歩いていると、気がついたら烏帽子岳に着いていて、ちょっと物足りない感じがした。
烏帽子岳山頂に到着!右奥に藤原岳、その手前に狗留孫岳が見える。狗留孫岳の山頂には例の板もよく見える。
烏帽子岳の山頂も眺望がいいので、少々休憩してから進むことにした。
登ってきた道をそのまま帰ってもよかったが、時山バンガロー村の方へ下山することにした。
烏帽子岳→時山 コースタイム1時間30分
烏帽子岳から時山方面に向かって下る。途中で北への視界が開けたところがある。
右奥が霊仙山、中央やや左が鍋尻山だ。
霊仙山は山頂付近の色が黄緑と石灰岩の灰色が特徴的でわかりやすい。
時山バンガロー村への分岐を進む。なかなか急な下りが始まるので慎重に下る。
登山道は踏み跡がしっかりあるので、迷うことはなかった。
バンガロー村は閉鎖され、今は別のキャンプ場があるようだが、山中には時山バンガロー村の名前が残っている。
下っている途中にふくよかなタゴガエルを発見した。アカガエル族のカエルは判別がいまいちできていないが、多分タゴガエルだと思う。
登山道には何合目かの看板が設置されていて、自分がどのあたりにいるか、あとどれぐらいで下山できるかがわかりやすい。
この看板は時山ルートだけではなく、細野ルートにも設置されていて、烏帽子岳は歩きやすい山になっている。
ひたすら下っていく。急なところがあったり、落ち葉が深いところもあり、慎重に下らないと滑って尻もちをつくことになる。
下山が終盤に差し掛かると鉄塔の下に出る。ここは滑りやすくなっているので注意が必要だった。
また下には時山の集落が見える。山間の集落は興味深い。
登山口に到着した後は、舗装路を通って長楽寺に戻るだけだ。
時山バンガロー村→長楽寺
登山口はキャンプ場になっている。県道139号につながる橋を渡った先が烏帽子岳への登山口になっている。
登山口からは県道139号をひたすら歩いていく。この道は川沿いを進む静かな道でよい。
時山から細野へと、しばらく歩くと柵で閉鎖されているところにぶつかる。開いて通ることは問題ないようなので、この道を進んでいく。
歩いていく途中に遊歩道があった。古田遊歩道なのか、里山遊歩道なのか。
この遊歩道は岐阜と三重の県境にある。どこまでつながっているかはわからないが、もしかすると狗留孫岳にもつながっているかもしれない。
このような遊歩道をのんびり歩くのも悪くないと思う。
後は舗装路をひたすら歩いていくだけ。稲穂と今日登った狗留孫岳を眺めながら歩く。
長楽寺に戻ってきた。集落からまっすぐ参道がつながっているので、そこをひたすら登ると長楽寺に着く。
今回もお疲れ様!
総括
今回は山の中を歩くだけであれば、比較的ラクな部類の登山だった。ただし舗装路歩きが長くなったので少々疲れた。基本的にゆるやかな山歩きで楽しかった。
僕は時山に下山して、長楽寺にある単車に戻るために舗装路をしばらく歩いた。登山に行った際に登山だけを楽しむのではなく、麓の集落を歩くのは楽しい。
あまりに長いと面倒ではあるが、集落の中を歩くと集落ごとの独特の雰囲気を感じられる。また山とともに暮らしている感じがする。
コメント