奈良県黒滝村と天川村の堺にある小南峠。山上ヶ岳の登山口に向かう際に通ってしまった後に調べたが、険道と名高い道であった。これから通ろうとされている方の参考になれば嬉しい。
山上ヶ岳の登山記録はこちらから。
険道とは?
走りにくい国道を酷道というように、走りにくい県道は険道と呼ばれることがある。その噂通りの険道であった。
険道の魅力としては交通量が少ないこと、普通の道では体験できないスリルを味わえること、好奇心を満たしてくれることなど楽しい道である。一部には熱狂的なファンが存在する。険道の一例を紹介して、マニアへの仲間入りの登竜門としたい。
公式から「必ず」避けろとの司令
天川村のホームページにも以下の通りの文言があった。険道の素晴らしさの一端を味わえる名文である。
一部のカーナビのルート設定で県道48号洞川下市線、黒滝村中戸経由の小南峠越えのルートが示されますが、道路が狭歪で対向が困難な場所が沢山あります。
洞川温泉へお越しの際は中継点として必ず天川川合を選択して下さい。
避けるように看板もでている
あとから調べたことだが、黒滝村役場から少し南東に行った峠道との丁字路に、天川村へは酷道309号線を通ってくださいとの看板があったそうである。確かにそんなことが書いてあったような気もするが、バイク乗りなので割とどこでも通れるだろうという満身がある。
余談になるが、峠道との丁字路を右折せずに真っ直ぐ行くと黒滝村赤滝につく。黒いのか赤いのか?
実際にどんな道だった?
黒滝村側
○標高400mから1050mまで登る6kmほどの長い道のり。
6kmは数字で見ると短く感じるかもしれないが、スピードは全く出せないので、やたらと長く感じた。スリップの危険性もあり、緊張感の続く道だった。
峠道は傾斜がなかなか、砂利や落ち葉が散らばったままのところ、かなり狭いところがあり、コンディションがあまり良いとは言えなかった。急カーブが連続するので、バイクでは砂利や落ち葉に車輪を取られて転倒しないように注意が必要であった。
車の離合はかなりの困難になるだろうと思われる。一般的な峠道であれば、離合用に場所が用意されていたりするが、そのようなものはない。今回、車とは一台もすれ違わなかった。バイクと車がすれ違うのも一苦労な道であった。僕が通った時は車が通る予感すらしなかった。
天川村側
○1050mから850mまで下る2kmほど。
天川村(洞川)は標高が高い。2kmで200m下るので傾斜は平均で10%ということになる(黒滝村側からも平均10%)。10%というと通常の道路で最も傾斜のキツイ部類であると思う。平均なので当然それよりもキツイところがある。エンジンブレーキを駆使して下る必要がある。
小南峠隧道(小南峠トンネル)
この峠の目玉。手彫りのトンネルで奈良県で最も古いトンネルの一つらしい。10年前ほど前まで手彫りの生々しい後が見れたそうであるが、現在はコンクリートを吹き付けて補修されているため見ることはできない。
トンネル内の路面はガタガタしていて振動の上下動のはずみで低い天井についてしまうのではないかと思った。真っ暗なので、ヘッドライトのみを頼りに進んでいくが、暗いところが見えるようになるには時間がかかるので見づらいまま通り抜けた。
また、トンネルは真っ直ぐではなく、グネグネ曲がっているため、見通しが悪い。対抗にライトのついていない方が来ると反応が遅れる可能性がある。
かつてトンネルがなかった時代、東に600mほどが峠だったそうである。おそらく下の地図の場所がちょうどいい鞍部(尾根が低くなっているところ)なので、かつての峠だと思われる。
峠の直下は等高線が密なのでかなりの急傾斜で難所であったに違いない。妄想が膨らむ。
松ヶ茶屋
小南峠の黒滝村側には、すでに閉鎖してから長い時間が経っているが、松ヶ茶屋が存在する。
通っている最中にチラッと見ただけであったが、入り口を塞がれた廃屋が建っていると思った。林業用の休憩小屋か何かと思ったが、後で調べてみると僕と同じく大峰山に参詣する人々が休憩所になっていたようである。
かつては立派な国道がないので、この峠を超えることになっていたようである。大峰山に登る前からこの酷な山登りの道をしなければならない。大峰山を目指す昔の人の信仰心には驚かされる。
総括
通りにくい道なので、なるべく通らないほうがよい。ただ好奇心が勝ったならば、覚悟があるならば通ると面白いかもしれない道である。僕は出かけると地図を確認せずに迷うことがよくある。しかし迷うと面白いものが見えるのでわざと迷うこともある。寄り道こそが人生かもしれない。
コメント
興味深く拝見しました。
丁度GWに洞川温泉~吉野に車で通りました。
なかなかスリルがある険道ですよね。
仮にアルファード同士で鉢合わせしたらキツイものがあると感じました^^;
コメントありがとうございます。
僕はバイクなのでなんとか行けますが、アルファード同士なら天を仰ぎますね(笑)