今回は時山からソノドに登り幾利山を経て林道に入り、谷山から南に向かう道に合流して五僧峠に到達し、時山に帰着するルートを歩いた。全般に登山道が薄く、整備もされていないので、山歩きに慣れていない人は避けたほうがよいだろう。
登山口のある時山からソノドまでは、踏み跡は薄いが歩きやすい尾根道が続く。谷山から五僧峠へ向かうルートは登山道が不明瞭な部分があり、アップダウンが連続する少々タフなルートになっていて、それなりの体力が必要である。
ソノドなどのカタカナの山名は、鈴鹿にも数多く存在するが、玄人好みの山が多いような気がする。鈴鹿セブンマウンテンや鈴鹿十座といった人気の山を登り尽くした方が、次の次ぐらいに選ぶ山がソノドなのではないかと思う。
登山者の多さ | ほぼいない |
駐車場 | あり(無料) |
お手洗の有無 | なし |
コンビニ | 登山口から10kmほど |
温泉 | 阿下喜温泉あじさいの里(登山口から21km) |
誰にオススメする山か
時山の登山口からソノドまで、谷山から五僧峠ともに踏み跡が少ない、玄人好みのルートになっている。特に初心者が登ることはないだろうが、登山に慣れた人が登るルートのように思う。
ソノドから県境尾根までは登山道がなく荒れているので、ソノドに登頂したあとは同じ道で下山することをオススメする。
・人気の少ないルートが好みの人
・踏み跡があまりないルートが好みの人
・広めの尾根をのんびり歩きたい人
踏み跡のない尾根道を歩くルートで、山の尾根がどのようなものか体を持って理解していれば、迷うことなくソノドにたどり着けることができるだろう。
尾根道を歩くということが理解できない人は、このルートは歩くことはまだ控えた方がいいだろう。
尾根はときたま細くなっているところがあるが、基本的には広い尾根で高度感はあまり感じない、歩きやすい尾根である。危険を感じることなく、ゆったりとした山歩きをしたいあなたにオススメの登山道である。
ただし眺望はほとんどないので、眺望を見るために山に登っている人にはオススメはできない。ときどき眺望は開けるので、それでもよい人は登るとよいだろう。
駐車場
ソノドに登る際の駐車場は時山文化伝承館前の橋の手前に空きスペースがあるので、そこに駐車するとよいだろう。
特にソノド用の駐車場というわけではないが、他に停める場所がない。満車になることはないと思うが、迷惑にならないように駐車したい。
岐阜県から向かえば道はそれほど心配しなくてもよいが、滋賀県から五僧峠を超えて登山口へ向かう道はどうやら通行止めらしい(2022年5月29日現在)。
五僧峠周辺は崖から落ちてきた石がところどころ転がっている。岐阜県道139号線はあまりコンディションがよくないので、通行に注意が必要になる。
登山コース・コースタイム
時山→高塚山→ソノド→幾利山→五僧峠→時山の順で周回した。
高塚山・ソノド・幾利山 / ずんやまさんの高塚山(岐阜県)・幾利山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
標高差
登山口から今回の最高点のソノドまでのおおよそ標高差700m程を登る。
登山口(標高250m)→ソノド(標高925,8m)
登山口から一番近い高塚山は標高730m、ソノドから北に進んだ幾利山は標高908mである。
高塚山まで進んだあと、標高596mの鞍部があるので、そこからソノドまで300mほど標高を上げることになる。ゆったり登ればそれほどキツイ登山にはならないと思う。
また県境尾根はアップダウンが連続するところもあり、標高差以上に体力は削られる。
コースタイム
ソノドまで同じコースを往復することをオススメする。
・時山の登山口から高塚山 コースタイム1時間20分
・高塚山からソノド コースタイム1時間40分
ソノドまでであれば登り3時間、下り2時間30分のコースで、往復で5時間30分のコースタイムになる。
またソノドから幾利山までは45分程度、幾利山から県境尾根までは40分程度かかる。谷山から県境尾根を経て五僧峠までは下り3時間5分である(登り3時間50分)。
さらに五僧峠から時山の駐車場まで1時間20分ほどかかる。なので僕が歩いた行程はコースタイムでいうと9時間ほどになる。
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★★
危険度★★★
疲労度は8時間以上の行程になるので、そこそこの体力が必要になる。
危険度については踏み跡が薄いので迷う危険性があること、急坂の部分で注意が必要になること、長い行程で疲労することを踏まえて★3つにした。山歩きに慣れている方であれば特に問題はないだろう。
登山コース
ソノドへの道はひたすら尾根を歩き続ける気持ちのよいルートである。
ソノドまでの往復であれば、体力的にはそれほど必要というわけではないが、ある程度山に慣れている人が登ることが望ましい。その基準として尾根線という概念を理解していることである。
時山の登山口から高塚山 コースタイム1時間20分
駐車したところから県道を東に向かうと分岐があるので、左の方に登っていく。
ソノドへ向かう登山口は少々わかりにくかった。コンクリートの道を進み、鉄の階段を登った先から登山が始まる。
登山口からすぐに急登が始まり高塚山の山頂にたどり着くまで、同じような登りが続く。ソノドへ向かうルートの特徴としては広い尾根をそのまま登っていくような登山道である。
しっかりとした登山道は作られていない。整備された登山道であれば、急傾斜地はジグザグにして少しでもゆるやかな傾斜の登山道が作られるが、直線的に登る登山道になっている。
登山道はほとんどないので真っすぐ登っても、ジグザクに歩いてもかまわない。それはあなた自信で判断してほしい。あなたが登山道を、歩く道を切り開く楽しい道である。
鉄塔の下を進む。鉄塔から鉄塔へ道が続いているように見えるが、登山道ではない。登山道はひたすら尾根を登る。
緑が非常に美しい。落ち葉で踏み跡がほとんど隠されているので、尾根のどこを通ってよいか分からない
自分で進むべき道を見つけて切り開く能力がなければ、この登山道を歩くことは難しいだろう。
灌木(背の低い木)が多く歩きにくいところもある。すべての登山道で信用できるとは限らないが、ソノドへ向かう道では赤いテープをたどればよい。
高塚山(標高730m)の山頂に到着。眺望はない。もう少し先に進むと眺望が現れる。
高塚山からソノドへは標高596mの鞍部まで下ってから登る。
高塚山からソノド コースタイム1時間40分
高塚山から少し進むと南宮山の向こうに大垣市を眺めることができる。
多度山から名古屋方面も眺めることができる眺望スポットである。この日は景色が霞んでいて全体的に白っぽくなってしまった。
そこからは少々のアップダウンはあるが、おおよそ平坦な道が続く、平坦をのんびり歩きたいときに重宝する山になるだろう。また歩きたいコースである。また紅葉時期に登りたいと思う。
5 月に登れば広葉樹林の新緑の美しい森の中を歩ける。そこを風が通り抜ける、眺望はないが清々しいルートになっている。
ほとんど人も歩いていないので、静かな山歩き、放浪の旅を楽しめることだろう。カエデの類も多く育っているので、紅葉の時期に登れば紅葉もかなり楽しめるだろう。
高塚山とソノドの間の標高596mの鞍部からは急登が始まる。この鞍部は標高にちなんで「ご苦労」峠と呼ばれていない。実は呼ばれていたりするのか?わからない。
新緑の登山は魅力があふれる。新緑の登山が美しいのは鮮やかな、若い、淡い緑に心惹かれるからだろう。
淡い鮮やかな緑が目を喜ばせる。森林浴が好きな人にとても良い山である。
ソノドへの最後の登りは、少々侵食が進んで、登山道っぽくなった道を進む。
ソノド山頂は少々開けて眺望がある。
僕はさらにソノドから幾利山に向かった。幾利山直前は道が荒れていて歩きにくいので、ソノドに登頂したあとは同じ道で下山することをオススメする。
ソノドから幾利山 コースタイム45分程度
ソノドからすぐ近くに石小屋を示す看板がある。どこにあるかはわからなかった。
ソノドの北のピーク、幾利山に向かう途中に霊仙山への眺望も開け、おそらくそこからしか見えない霊仙山のカッコいい姿を見ることができる。
ソノドから霊仙山が見えるここまで歩いてから下山するものよいだろう。
幾利山に近づくと、間伐で切られた木が置かれている。足の踏み場がなく歩きにくくなる。荒れた山という感じで非常に歩きにくい。なので何度もいうがソノドに登頂後は来た道で下山したほうがよい。
途中から半ば、藪こぎのような道になる。藪こぎが好きな人であれば、結構楽しめるかもしれない。
幾利山直前の急登は登山道がほとんどが見えない。
荒れた道のりを超えると幾利山に到着する。一応山頂の看板はあるので、どこか安心できる。
ソノドから幾利山を経て林道を出るコースは、普通の登山よりも少しだけ、難易度を上げたい人、ほとんど人が歩いていないコースを歩きたい登山者にオススメする。
幾利山から県境尾根に合流 コースタイム40分程度
幾利山から北西に進むと林業用の道路がある。林道目指して進むが、間伐の木がそのまま置かれているので、歩きにくい。注意して進んでいく。
しばらく慎重に進んでいくと、ようやく林道に到着する。林道は特に心配なく歩ける。
林道からは登ってきたソノドがよく見える。中央の柔らかい印象の山がソノドである。
林道からは県境尾根とソノドの間にある藪谷も見える。正直少し疲れてきたので、距離的は短く見知った藪谷から下ろうかと思ったが、藪谷もタフなルートである。
どちらでも疲労度は変わらないと判断して、歩いたことのない県境尾根から下山することを選択した。
林道を進んでいくと柵で閉鎖されている。流石に開けて進むわけにはいかないので、手前の柵との境目のようなところを無理やり登って県境尾根に合流した。
県境尾根に出れば、道がしっかりしていると期待していたが、全くそのようなことはなかった。
幾利山から五僧峠を経て登山口 3時間5分
分岐がわかりにくく、迷いやすいところがあり、踏み跡も薄めのところが多い。多くの人に歩かれたルートとは異なった様相をていしている。
一部分岐がわかりにくいところもあるので、気をつけなければならない。平坦なところも多いので、分岐さえ注意していれば問題はない。
このルートの特徴としては東側が広葉樹林、西側が植林されたスギやヒノキの林になっていることである。
時には広葉樹林の方が張り出してきて広葉樹類の森を歩くことになったり、スギやヒノキの林が張り出してきて植林帯を歩く時もある。
特に五僧峠に近づくと岩場があったり、急坂があったりとタフな道になっている。注意深く進んでいく。
特にこの登り返しは、地面が粘土質で滑りやすく、かなりロープに頼りながら登ることになった。スリリングではある。
五僧峠のルートはちょうど滋賀県と岐阜県県都の県境にあたるので、最近歩いていたのは滋賀一周トレイルの人たちかも知れない。
五僧峠に到着した。あとは舗装路を下るだけ
五僧峠から時山の登山口 コースタイム1時間20分
峠には鈴鹿山脈を縦走させようとする看板がある。
五僧峠には駐車場のようなものがあるので、そこに駐車して登山開始することは可能かもしれない。単に人の敷地かもしれないのでわからない。
五僧峠からは舗装路を下っていく。舗装路を下るのは地味にキツイ。
坂を下り、時山の集落を過ぎれば駐車場に到着する。
総括
時山の登山口からソノドまでは広い尾根をのんびり歩くことができるよいコースであった。谷山から五僧峠への県境尾根は踏み跡が薄いので気をつけて歩く必要がある。特に五僧峠に近い部分で岩場があったり、急坂があったりする。
今回は行程のほとんどすべて人間の足跡よりも獣の足跡の方が目立つので、獣の足跡についていかないように注意したい。明らかに人間の足跡より新しい獣の足跡があるので、ほとんど人間は歩いていないと推測できる。
美しい新緑を愛でる満足の山行であった。休日の登山であったが、誰ともすれ違わず、人の気配すら感じなかった山行でもあった。
ルートファインディング能力を要するタフなルートで、おもしろい道なので、興味があれば登ってみてほしい。
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