2022年8月6日。秋田県の鉾立から鳥海山に登ってきた。
御浜小屋、七五三掛までは石畳が続く比較的歩きやすいコースで、七五三掛の分岐からは鳥海山の核心部という感じで険しさが増す。
登りごたえがあり、景色がよい、間違いなく日本有数の名山である。また東北随一の山なのだろうと、初めて東北の山に登ったが、そう思わずにいられなかった。
僕が登頂したときはガスで残念な感じだったので、もう一度晴れた日に登りたい山となった。何回登ってもよい山であると思う。
誰にオススメする山・コースか
御浜小屋までであれば2から3時間で到着するので、それだけでも十分にこの山を楽しめるだろう。御浜小屋から見る、鳥海山の山頂と日本海の景色はそれだけでこの山にきてよかったと思わせる絶景である。
・鳥海山山頂に登りたい方
・途中まででもよいので鳥海山に登りたい方
・日本海と庄内平野の景色を楽しみたい方
日本百名山の一角なので、百名山をすべて登りたい方は必ず登ると思うが、百名山にそれほど興味がなくても、遠くから訪れてでも登ってほしい山である。
駐車場
今回は鳥海ブルーラインを通って、鉾立登山口に向かった。鉾立に駐車場があるので、それを使用することができる。駐車料金は無料だ。
鳥海ブルーラインについては以下のリンクを参考にして欲しい。
「登山者」と「一般」は駐車場が分かれている。一般の駐車場は下の写真の登山者用駐車場から少し登ったところにある。
僕が登った8月6日(土)の10時時点では登山口付近の駐車場は満車だった。
登山口に近い駐車場は広いが、満車の場合は少し下に駐車ができるスペースがあるので、そこに駐車するとよいだろう。今回はそこに駐車した。
下のスペースも満車の場合はさらに下の開いている場所か、上の開いている場所を、そこから長めの距離を舗装路を歩くことになる。
なるべく早めに行くか、満車を覚悟して余裕を持った計画で登山を始めるようにしたい。人気のある山なので、駐車場にカンタンにとめれられない場合は考慮に入れておきたい。
登山コース・コースタイム
YAMAPのコースタイムを参考に算出した。
・登り4時間40分
・下り4時間10分
合計8時間50分で一日中歩くタイプの登山になる。
御浜小屋までであれば登り2時間、下り1時間30分程度の道のりである。御浜小屋まででも十分に鳥海山を楽しめるので、ゆる登山をしたいかたはこちらを目標にしてもよいと思う。
登山の軌跡は以下の通り。
標高差
おおよそ標高差1100mを歩く。
鉾立登山口(標高1150m)→鳥海山(新山山頂)(標高2236m)
登りだけでなく、途中には下りもあるので、標高差だけでは単純に疲労度は測れない。
コースタイムは9時間近くなるので、一日中山を歩いても問題ないぐらいの体力は必要である。
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★★
危険度★★
疲労度についてはコースタイムが9時間近くになるので、そこそこの体力が必要である。
またところどころに急登があるので、そこで体力を奪われないように一定の心拍数を守って歩きたい。
危険度については登山道は整備されていて歩きやすいが、常に石の上を歩くので足元は安定しない。慣れていないとバランスを崩してコケたりするかもしれないので注意が必要だ。
登山コース
登山口から七五三掛の分岐までは比較的容易なコースで、そこから千蛇谷と外輪山への分岐から本格的なルートになる。
本格的といっても少々道幅が狭くなったり、急坂が連続するくらいで、山に慣れている人であれば特段問題のある道ではない。
鉾立登山口→千蛇谷→鳥海山
駐車場から山荘の向こうへ歩いていくと登山道が現れる。最初はコンクリート舗装された道、階段を進んでいく。
トンボが飛び交う道を進んでいく。道は舗装され歩きやすい。
途中から石で作られた階段の道になる。これほどの石を持ってきて登山道に敷き詰める労力に敬服した。
石にはくさびを打ち込んだ跡の溝があり、そこからも人間の労働の偉大さを感じる。
賽の河原。穏やかな雰囲気で気持ちがよい。休憩地としても最適だろう。ここから少々急な登りを経て、御浜小屋へ至る。
御浜小屋までもひたすら石畳の上を歩く。石のは平板ではなく、デコボコしているので慣れない人は疲れるだろう。
このようなデコボコ道を歩きやすくするのが登山靴の役割なのだろうと思う。
御浜小屋に到着した。コースタイムでは御浜小屋まで登り2時間、下り1時間30分程度である。
登山口から景色はよかったが、御浜小屋からの景色は一味違う美しさを楽しめる。御浜小屋を目標に登って、あたりを散策するゆる登山もオススメ。
特に登山口から御浜小屋までは、子どもを連れた団体や家族とよく出会う。山に慣れてない人が数多く登っているという印象を受けた。それだけ地元に愛された山なのだろうと感じられて非常によい。
御浜小屋から少し登ると岩場があり、そこで大勢の人が休んでいた。ここからは鳥海山の山頂や日本海の景色が楽しめるので、休憩地として最適だと思った。
この標高1700mあたりからハイマツが現れる。ハイマツはそれほど多くはない。石や岩がむき出しになった尾根をひたすら登っていく。
八丁坂付近から御浜小屋方面を振り返る。御浜小山は見えない。ここで標高50mほど下って、また登り返す。
七五三掛で千蛇谷ルートと外輪山経由ルートの分岐がある。下ってきた方に話を聞くと、千蛇谷→外輪山の順で周回して正解だったらしいので、千蛇谷から登ることにした。
また「山頂からの景色は最高だった」と聞いたので期待して登っていたが途中からガスが濃くなり、残念な感じが出てきた。
千蛇谷には雪渓が残る。この雪渓を渡る。さすがに雪の上を歩くと滑るので注意して歩く。念入りにアイゼンを装着して歩いている方もいたが、気をつけて歩けば特にアイゼンは必要ないように思う。
山頂直下の大物忌神社に向かう急な登りを進む。つづら折りになっているので、それほどの急傾斜を進む訳ではないが、今回のルートで最もキツイところだと思う。
また山頂に向かう高揚感が最も上がる場所でもある。
振り返ると外輪山の稜線と千蛇谷の雪渓がよく見える。鳥海山の懐の深さと大きさがよく分かるよい景色だと思う。
大物忌神社に到着した。神社には公衆トイレがあり、僕はそれに救われた。
今回はガスがかなり出てきて、眺望がなくなってきてしまったが、さらに山頂へ向かう。山頂への登りは岩場で、手足を総動員して登る。
岩の洪水状態のところグングン進んでいく。ルートには丁寧に矢印が書かれており、迷うことはない。多少外れてもどんどん登っていけるので、危ないところに向かっていないかは随時注意して進むようにされたい。
凄まじい光景だ。火山のというか、大地の圧倒的なエネルギーを感じる。ゴルジュのような、細いところを進んでいく。
ついに登頂!と思ったら、山頂に何もなかった。どうやら向かいのピークが山頂だったみたいだ。似たような高さのピークが3つくらいあったので、適当に登ったら間違えていた。
山頂では無いピークで休んでいると、後続の方もこちらが山頂と勘違いして登って来られた。騙したよいうな形になって、少々申し訳なかった。
偽ピークから本物に移動した。標高2236m、新山山頂に到着!晴れていれば最高の景色が見られると思うが、今回はガスで全く見えなくて残念だった。何度登っても素晴らしい山だと思うので、再度登りたいと思う。
ちなみに左奥に見えるピークが間違えて登ったピークである。あっちの方が高いと思ったけど違うのか……。
鳥海山→外輪山→鉾立登山口
下りは外輪山経由での下りを選んだ。まず山頂からすぐに現れるのは「胎内くぐり」という狭い岩穴をくぐるところだ。
リュックを少々擦りながらもくぐり抜けた。このような変化がある山はおもしろい。
少々下ると残雪が現れる。千蛇谷の最上部にあたる。
左には三日月型に雪が溶けている。日本でバルハン(三日月型砂丘)が見れると思わなかった(砂丘ではないので違うけど)。
さらに下って神社の方ではなく、外輪山方面に向かって雪渓を渡り、登り返せば外輪山に到着する。御浜小屋方面へは伏拝岳方面へと向かう。
ここからの稜線歩きは晴れていれば、開放感があって気持ちがよかったのだろうと思う。
一部はしごがあったりするが(いらないような気がする)、基本的にはゆるい下りを進んでいく。
行者岳、伏拝岳、文珠岳と3つのピークを縦走するが、それぞれのピークがは大きなものではなく、通りすぎるような感じで進んだ。
文珠岳をすぎると下りが少々急になってくる。鳥海山全体でもいえるが、花が咲き乱れているのがきれいだった。
千蛇谷との分岐で合流して、登りでも通った道を下っていく。同じ道といっても山の天気はすぐに変わること、日の傾きで山の印象は大きく変わる。
御田ヶ原の東から庄内平野が少々見ることができた。田んぼが広がるよい景色だ。晴れていればさらに広がる景色も楽しめるのだろうが、見えそうで見えない絶妙なラインを楽しむ。
登りは鳥海山の山頂を見ながら登っていったが、下りは日本海を見ながらになる。どちらも美しく、鳥海山登山はとても思い出深いものになった。
ガスっているのは山頂だけで稲倉岳は登りの時からずっと見えていた。この山も美しいので、いつか登ってみたいものだ。登山道は御浜小屋から続いているようだ。
さらに下り、登山口にほど近いところでも日本海と傾いていく、太陽を見ることができた。やはり非常に美しい。
帰りの日本海東北自動車道からの鳥海山の美しい山容を眺める。なぜ下山したら晴れるのか。その真相を我々は知るべきではないだろうか。
今回もお疲れ様!
総括
間違いなく東北一の名山であった(東北の山は鳥海山が初めて)。海とこれほど近く、そこから美しく高度を上げる山だった。
山頂を見ても美しく、下を見ても庄内平野の水田、日本海がせまるところを楽しめる。再度訪れたい素晴らしい山だった。
千蛇谷と外輪山の分岐の選択について
今回は千蛇谷→外輪山へ周回するルートを選んだ。このルートを選んでよかった点は千蛇谷から一途に山頂を目指せることである。
下りがなく、ひたすら頂上を目指して、頂上に至る爽快感がある。これは外輪山である程度の標高を上げてから山頂に到着する感覚とは違ってくるだろう。
そしてその後に外輪山を歩くのは、獲得した標高をそのままに稜線歩きを楽しめる開放感がある。山頂に到達した、勝利の余韻のようなものに浸りながら歩くのは心地よい。
個人の好みも大きいが、千蛇谷→外輪山の順番で周回することをオススメする。
樹林帯が無い
登山口からすでに草木の高さは低い。樹林帯はほとんどないといってもよいくらいだ。それゆえに太陽の日差しをモロに受ける。
今回は曇でそれほど日差しは強くなかったが、下りは晴間があって暑かった。
帽子などの日差しを遮る道具は必須である。日焼け止めを塗ることは当然として、唇もヒリヒリするくらいにやけた。UVカットのリップも必要になると思った。
登山道の所感
基本的にはなだらかなところが多いが、所々急なところがある。急登でペースを早めず、ゆっくり登るようにしたい。
特に山頂直下へいたる登りはかなりの急登である。山頂へとはやる気持ちを抑えながら、ペースを崩さずに登ることが、疲労を残さずに登るための条件になるだろう。
登山道は土の上を歩くところはほとんどなく、デコボコした石の上を歩くことが大半になる。その上でもバランスを崩さないこと歩けるようにしておきたい。
また石の上は慣れていれば薄いソールでも問題がないが、厚いソールで歩けばデコボコからのダメージを軽減することができるので、装備を整えて登りたい。
調べてみた花
高山植物についてはただいま勉強中だ。見つけた花を調べてみた。
おそらく合っているのではないか。花や岩、生き物も観察しだすと登る時間がかかりすぎるが、それも山の楽しみとして存分に味わいたいと思う。
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