綿向山から雨乞岳まで縦走(イハイガ岳・大峠・清水頭経由)

鈴鹿セブンマウンテン

2021年11月14日。鈴鹿山脈の綿向山山頂からイハイガ岳、大峠、清水頭を経由して雨乞岳まで縦走した。また帰りも同じ道を通った。

イハイガ岳まで行きたい方や清水頭を経由して雨乞岳に登りたいけど、あまり誰も登っていなさそうだけど登山道があるか心配な方に向けて解説する。

結論から言うと登山道は不明瞭なところはあるが、ある程度の経験者であれば縦走できる。初心者は通っては行けない。こちらのルートから登る際に参考にしていただければ幸いである。

登山者の多さ多い(筆者の感想)
駐車場数十台駐車可能
お手洗いの有無西明寺口のバス停付近に無料公衆トイレあり
コンビニ登山口付近にコンビニなし
温泉大河原温泉(大人500円)
永源寺温泉(大人1500円(土日祝値段))
それぞれの温泉については以下から確認してほしい。
甲賀の奥座敷大河原温泉 かもしか荘
鈴鹿山麓の四季が最も美しく見える幻想郷。滋賀県甲賀市土山町の施設の宿泊・料理のご案内など。
[公式]永源寺温泉 八風の湯(はっぷうのゆ) 滋賀県東近江市の天然温泉

どんな人にオススメする山か

鈴鹿山脈の中でもあまり歩く人のいないルートだと思う。出会った人もいぶし銀のベテラン登山者であった。

静かなコースを歩きたい方
・あまり整備されていない登山道を歩きたい方
・鈴鹿山脈のマイナールートを開拓したい方

変化に富んだおもしろいコースであり、十分な経験と体力があれば是非通ってほしいコースである。

このコースの注意点

※初心者は絶対に通ってはいけない。間違えて足を踏み入れないように注意されたい。

一応、赤いしるしがあり登山道なのであるが、ただの斜面にしか見えない。

この記事内でしつこく注意することになるが、十分な読図能力と体力と経験を持った登山者のみがこのコースを通るべきである。登山道は不明瞭で見失いやすく、危険個所もあるので難易度は高めである。

初心者が足を踏み入れると帰れない可能性があるので、綿向山山頂までのコースにしておこう。

駐車場

綿向山の御幸橋駐車場に停めることができる。最初は綿向山から登るので、同じ駐車場になる。数十台は余裕で駐車できるので、駐車場の心配はする必要はない。

今回、筆者が登山に使用した際には第一駐車場はほとんど満車に近かったが第二、第三駐車場はほとんど空車であった。

綿向山は人気の山で駐車場も広い。

ただし日野町のホームページでも警告されているが、近年マナー違反の駐車が、特に冬期に散見される模様である。時期によっては満車になる可能性があるので、そのようは駐車は絶対にしないようにしたい。

登山コース

御幸橋駐車場→綿向山→イハイガ岳→大峠→清水頭→雨乞岳の順で縦走をした。帰りはこれの逆順で縦走した。以下のYAMAPのログも参考にしてほしい。

綿向山・イハイガ岳・清水頭・雨乞岳縦走 / ずんやまさんの綿向山雨乞岳(滋賀県)南雨乞岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

2人以上で行くこと等で車を2台用意できるのであれば武平峠あたりに駐車しておくとよいかもしれない(清水頭で出会った方がそのようにしていると言っていた)。同じ道で帰るのは少々面倒である。

綿向山山頂までについては以下の記事を参考にされたい。今回の記事は綿向山以降を記述する。

疲労度・危険度

毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。

疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。

疲労度★★★
危険度★★★

コースタイムは10時間を超えてくるので、かなりの体力が必要になる。一日中山歩きをしても問題ないくらいの体力がないと難しい。

体力が順分にあれば、登山道としては急な傾斜のところも一部あるが、基本的にはゆるい傾斜の道が続くので楽しい山歩きを楽しめる場面も多い

黄と赤でこれから行く登山道の危険さ示している。事実ルートは不明瞭であった。

危険度についても登山道を見失うと一気に危険度が高まるので全く油断できない状態が続く。崩落地のすぐ隣の急斜面を歩くのでバランスを崩せば、高確率であの世へアクセスできるだろう。

コースタイム

YAMAPのコースタイムでは行き6時間15分、帰り5時間40分の合計11時間40分のコースである。筆者の感想ではあるが綿向山表参道コースのコースタイムは、長めに取られているように感じる。その他のコースタイムは標準的なものであるように感じた。

綿向山からすぐの稜線。すでによい雰囲気。

あくまでも目安とは言え、11時間を超えるコースタイムになるので、それだけの時間を歩ける体力と経験が必要になる。

標高差

標高350mほどの駐車場から、標高1237.7mの雨乞岳山頂までの標高差約900mを登る。実際には縦走路なので登り下りがあり、それ以上の登り下りを超えていく必要がある。

YAMAPの実績値では登り累計1940m下り累計1939mとなっている。距離にして20.3㎞を歩いた。

必要な食糧

長丁場の登山では食糧補給にも気を配る必要がある。登山を成功させるためには大切なのことなので紹介する。参考になれば幸いである。

短い登山であれば、体内にあるエネルギーで押し切ることもできるが、長い登山では上手くエネルギー補給をしなければならない。うまく補給しないと体内のエネルギーをすべて使い切ってしまう。

エネルギーを使い切れば脂肪や筋肉を分解してエネルギーに変えながら登ることになるが、エネルギー効率が悪く、筋力を発揮することが難しくなる。つまりは身体に力が入らずに、あまり動けなくなるのである。

今回持っていった食料。お菓子系が多くなってしまった点は反省点である。

それを回避するために食料はこまめに摂取していく必要がある。食事は楽しみというよりも必要に迫られて摂取する形のほうが良い。お腹がすく前に食べるのである。

筆者が愛読書にしている山本正嘉氏「登山の運動生理学とトレーニング学」の p128, 129 の以下の式を参考に必要なカロリー数を計算した(以下の式は簡易版。詳しく知りたい方は書籍を参照されたい)。

必要kcal = 体重(kg) × 行動時間(h) × 5(メッツ(活動量の単位))

この式に当てはめると「60 × 11 × 5」となり必要kcalは3300kcalとなる。朝ごはんを500kcalほど食べるので、登山に持っていくのは2800kcalくらいにした。その他、以下のドリンク以外に水2リットルを持参した。

薄皮つぶあんぱん635 kcal
カロリーメイト400 kcal
一本満足バー×2387 kcal
ウイダーインゼリーエネルギー180 kcal
ウイダーインゼリープロテイン90 kcal
チョコ棒326 kcal
カップヌードル味噌391 kcal
イオンウォーター55 kcal
コカ・コーラ(700ml)315 kcal
薄皮パンシリーズはカロリーの爆弾。エネルギーを取りたいなら外せない。

上記の合計は2779kcalである。1時間間隔くらいで上記を飲み食いして下山までに全てを食べた。今回はトータルで8時間ほど歩いたが、エネルギー不足で力が入らなくなることはなかった。最後まで元気な状態で下山することができ、適切なエネルギー補給が大切であることを実感した。

午前中は固形物を食べ、午後の疲労が溜まってくる段階では液体に近いものを食べるとエネルギーを摂取しやすい。特にコーラはエネルギー効率が極めて高いらしく、ごくごく飲めるのでオススメである。

出典:グラップラー刃牙 コミックス1巻より

コーラでエネルギー補給するのはグラップラー刃牙でもおなじみであり、試合前の補給にも優れている。

登山を始めた当初は、長めの登山をすると途中から力が入らなくなり何故かと考えたものである。原因が食べ物であることに気づいてからは快適に登山できているので、食べることは本当に大事である

見どころ

綿向山直下の草原

開けた稜線を歩く。

綿向山直下には草原が広がる。これから縦走に向かう登山者を見送るかのようなよい草原である。

綿向山から10分20分もないが、すでに登山道は不明瞭。

登山道というと多くの人が歩いて草が生えていない、土の上をあることが定番であるが、ここからは登山道が草に覆われている。ほとんど人が歩いていないことがここからも想像できる。草の上を歩くのは楽しい。

イハイガ岳~大峠

綿向山から出発して最初のピーク。個人的はきれいな三角錐の鋭峰だと思う。

綿向山を見る。こちらのみ開けている。

登山道は東西からコースが通っているが、両方とも急斜面を登る道になっている。登山道も不明瞭なので慎重に登りたい。

また綿向山方面から登った場合は、上の写真のように登山道にアセビが繁茂しているので、かき分けて進む必要がある。

東から見たイハイガ岳。かなりえぐれている。

特に東側は崩落地なので歩く際は注意が必要である。上の写真の崩落地のすぐ右側を歩く。

崩落地のすぐ横を歩く。

崩落地の直ぐ側を歩くことが今回の山行で最も注意すべきところである。

よく見ると申し訳程度にロープがある。踏み跡はあまりない。

今回、歩いた中でもっとも登山道が不明瞭だったのはイハイガ岳から大峠までの間である。登山道を外して歩いていることが多々あった。そのような時でも落ちついて行動できる冷静さが必要である。

綿向山からイハイガ岳、大峠から清水頭は少々歩いている人がいるのかもしれないが、イハイガ岳から大峠はほぼ誰も歩いていないのでは?と思うような道であった。不明瞭ながら登山道はあるので、歩くことはできる。

大峠~清水頭

大峠から清水頭方面へは千種街道(甲津畑方面)の分岐とつながっているので、多少は歩いている人がいるようである。

大峠東の急登を見下ろす。

大峠の東の急登。多少は歩かれていて道が若干あるとはいえ、基本的には登山道が不明瞭なので、道がわからなくなった場合は落ち着いて、道を探すようにしよう。

ジャングル感のある道。アスレチックのようで楽しい。

大峠から東側の稜線上は草木の量が多く、ジャングルのような様相を呈していた。体を屈めたりしながら通り抜ける。

左が綿向山。右の崩壊している山がイハイガ岳。

そこを超えると岩場があり、来た道、これから行く道を一望できる。ここを休憩地にするのも良いかもしれない。景色を見ながらのんびり過ごせる。

葉っぱはほとんど落ちていたが、春夏であれば木漏れ日の気持ちいい山歩きができそう。

岩場以降は栗の木などの林を抜ける。こちらは木の感覚が広く気持ちよく歩ける。今回は葉っぱが枯れてしまっていたが、生い茂る葉っぱの下を歩くのは非常に気持ちよいことが予想できる。

清水頭~南雨乞岳

素晴らしいところ。ここに到達したら帰ってもいいかもしれない。読み方を調べたが、「しょうずのかしら」もしくは「しょうずかしら」と読むらしい。

手前のピークが清水頭。奥が雨乞岳。

今回の登山のハイライト。鈴鹿の全景色を(御在所岳を除く)一望できる。個人的には今まで登ってきた鈴鹿の山の中でもベストかもしれないと思う。

清水頭から雨乞岳全景。東雨乞岳は見えない。

山中に開けた草原を歩くのはなぜこれほどまでに楽しいのか。説明できる人は教えてほしい。

雨乞岳方面から清水頭。

清水頭付近も登山道が不明瞭なので、道に間違えないように注意したい。清水頭から西に向かう際に、まっすぐ進むと南西側の尾根に進みそうになるので注意したい。登山道は北西である。

よい雰囲気の岩場。奥に見える2つのピークは仙ヶ岳。

南雨乞岳直下は少々岩場のある登り。鎖場は特になく普通に登ることができる。また笹の道が始まる。

南雨乞岳~雨乞岳

左が御在所岳、右が鎌ヶ岳。一望できる。

雨乞岳と比較するとあまり人が訪れていないのか。登山者に張り出す笹の密度が高い気がする。御在所岳と鎌ヶ岳、雨乞岳と東雨乞岳を一望できるよいピークである。雨乞岳と比べで静かなので、一休みするのならこちらをオススメする。

左が雨乞岳。右が東雨乞岳である。

穏やかな山容の雨乞岳を見ていると落ち着く。

一部身長を超える部分がある。

ここから雨乞岳へ向かう道は笹に覆われた道で軽い藪漕ぎをすることになる。一部背丈より長い笹があったり、斜面で滑りやすいところがあったりするので注意が必要である。道はあるので、それにそって歩くようにしたい。

雨乞岳

御在所岳、鎌ヶ岳も見える。

今回の最高峰。標高は1237mで鈴鹿山脈では御池岳についで2番目に高い山である。

東雨乞岳への道。この道も気持ちよく歩ける。

今回は東雨乞岳には向かわなかったが、東雨乞岳へ歩く道も良き道なのでオススメする。

大峠ノ沢

雨乞信仰の由来である大峠ノ沢。大峠を経由して登ってきた人間には感慨深いものがある。

後は登ってきた道をそっくりそのまま引き返すのみである。それが結構キツイ。

総括

今回は綿向山以降はマイナーなルートになる。マイナーなルートの魅力としては登山者との会話数が増える。会う人数が少なくなるので挨拶から会話に発展する確率が高い。どの登山口から来たのか、どこまで行くのかといったことを話すると面白い。

また体力にテント泊を続ける縦走であれば、さらにキツイものになるだろうが、今回の山行は通常の日帰り登山の中ではそれなりにキツイ部類になるのではないかと思う。

そこそこの体力が必要であるが、楽しい山歩きをできるのでオススメである。ある程度の経験と体力があれば是非挑戦して見てほしい。

あとオマケで動画もあげている。参考までに。

リストのなぞBGMをつけてみた。

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