2021年12月30日イブネに登ってきた。週初めに大雪があり、平地でもかなり積もったので鈴鹿の山もかなり遊べると思い登ってきた。無雪期であればそこそこの人が登っている山であるが、ほとんど登っている人がいなかった。
積雪期はトレースに期待できる登山道ではないので、自身で道を切り開く覚悟を持った人以外は登ってはいけない。
つまり、経験と装備と覚悟が必要である。逆にこれらがある人には、静かな登山道、稜線上からの眺望と非常にオススメできる登山道であったと思う。
団体の登山者が大峠方面に進み、単独の方は杉峠に向かう途中で「疲れた」ということで引き返してきたので、途中からはトレースなしの道を歩いてきた。
トレースのない雪の道を進むのは非常に疲れたが、杉峠からの稜線は非常に気持ちの良い雪山歩きを楽しめた。苦労して進んだ達成感を得られる山であった。十分な準備をしてから登りたい山である。
登山者の多さ | 少ない(積雪時) |
駐車場 | あり |
お手洗の有無 | なし |
コンビニ | なし (食料などは事前購入が必要) |
温泉 | 永源寺温泉 |
どんな人にオススメする山か
雪のイブネに登るのであれば、おそらく一番平易なこのコースを登ることが望ましいかもしれない。序盤はほとんど平坦な道で雪であっても、そこまで疲れることなく歩くことができる。
・雪のイブネに登りたい方
・静かな雪の道を歩きたい方
・ラッセルしたい方
今回トレースがなかったことを見ると、冬はあまり登られていないのかもしれない。ゆえに雪山初心者の方は登らないほうがよいと思う。雪山になれないうちはよく人が登る山で、雪がある程度開拓されている山に登るほうがよい。例えば鈴鹿山脈でいうと、藤原岳がよいのではないかと思う。
雪のない季節の登山記録については以下の投稿を参考にしてほしい。
駐車場
甲津畑の集落を越えて林道を進み「岩魚の里 永源寺グリーンランド」から少し先に登山口がある。雪が積もっていなければ、登山口より奥のスペースに駐車するが、今回は手前に駐車した。
積雪した際にはグリーンランドまでは除雪がされているようで、除雪されている一番奥に4〜5台の駐車スペースがある。除雪についてはされていない可能性もあるので、積雪時は対応できる状態で行くほうがよい。
地図は「岩魚の里 永源寺グリーンランド」を指している。そこからもう少し先なので、そこまでの参考にしてほしい。
上の数台の駐車スペースから登山口までは少し歩く。
この看板が登山口にあるので見逃すことはないであろう。
登山コース
甲津畑登山口から杉峠ノ頭(イブネは断念) / ずんやまさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
YAMAPでの登山記録。参考になれば幸いである。ルートは以下の通り。
甲津畑登山口→杉峠→杉峠ノ頭→杉峠→甲津畑登山口
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。☆は★半分。
疲労度★★★☆
危険度★★★
積雪しているので、疲労度も危険度も格段に上がる。
疲労度について
積雪した道を歩く際には足を毎歩かなり上げる必要があり、足の踏ん張りも効かない。通常の歩行と比較して1.5倍ほどは体力を消耗している気がする(個人の感想)。
また個人的な話であるが電解質が足りなかったのか、足が冷えていたのか、かなり足がつった。雪山は通常とは違う環境なので、身体がいつもと違う反応をする可能性がある。それゆえに短めの雪山から経験を積むべきである。
危険度について
積雪によって、普段は滑らないところで、滑落する危険性がある。また稜線上では雪庇があり、地面の上であることをしっかり認識して歩く必要がある。
また気温がかなり低くなるので、素肌が露出する箇所はないようにしたい。長時間に渡って冷やされ続けると凍傷になる危険性がある。
コースタイム
登り:3時間50分
下り:3時間20分
※無雪期のコースタイム(積雪時はもっとかかる)
コースタイムはあくまでも目安である。
YAMAPのコースタイム登り3時間50分、クラシまで行くとプラス20分で4時間10分。下りは3時間20分、クラシから下ると3時間40分である。イブネをゴールとすると合計7時間10分の行程になる。
そこに雪もあるので少なくとも1.2倍〜1.5倍ほどの時間で計算するとよい。1.2倍で計算すると8時間30分ほどの行程になる。
ちなみに杉峠ノ頭まででは3時間10分ほど、下りも3時間ほどの行程となる。
標高差
甲津畑登山口(標高約500m)→イブネ(標高1160m)
登山口の標高は500mほど、山頂のイブネは1160m。おおよそ650mを登る。杉峠ノ頭は標高1121mである。
登った感想としては水平の移動距離が長く、ゆったり標高を上げていくタイプの登山道だったので、登りのきつさはそれほどではない。傾斜はキツくないが、雪の上を歩くので徐々に体力を奪われていく。
急なところは杉峠直前の登りぐらいである。雪も深くなり相当歩きにくかった。また今回は登っていないが、イブネの直前も短いがそこそこの登りである。
登山コース
今回は積雪の中、先行者がいない道をラッセルをして進んで行った。先にも書いたが、普段と歩き方を変える必要があり、非常に疲れた。
ラッセルは非常に大変なので覚悟がいる。あなたは『覚悟して来ている人』だろうか?
出典:ジョジョの奇妙な冒険 コミックス55巻 75話 ホワイトアルバムその6より
「ラッセル」とは!!白銀の雪原に!!進むべき道を切り開く事だッ!と『ジョジョの奇妙な冒険』のジョルノ・ジョバーナの気分で進んだ。
甲津畑登山口→杉峠 コースタイム2時間55分
今回は最初から最後まで、おはようからおやすみまで雪がある登山道であった。
足首まで程度の積雪の深さであった。杉峠直前の急登までは、なだらかな道なので積雪がなければ余裕の道であるが、滑って進みにくい道になっていた。
徐々に深くなってくる雪の中を進む。雪と川の乙な組み合わせ。
先行者のトレースがあるので、それに沿って歩くだけ。ここまでは少々歩きにくさを感じるだけで済んでいる。これからトレースが消えて、きつくなることをまだ知らない。
ツルベ谷出会。ここから杉峠と大峠に分岐している。左から杉峠へと進む。大峠はイハイガ岳・綿向山、もしくは清水頭、雨乞岳につながる稜線上の峠である。大峠を歩いた記録は以下の投稿から。
先行者が疲れて引き返した地点を越えるとトレースがなくなった。「割と手前で引き返したな…」と思いながら、ラッセルを開始する。
積雪した木の橋を渡る。このルートはいくつも木の橋があるが、木の橋はそこが抜けている箇所があるために、雪の下に木の板があるか確かめながら渡る必要がある。
またこの先は急斜面に道を作成する必要があった。ジグザグにラッセルしてかなりキツかった。道を切り開いた後、後続の人たちも同じ道を通るだろうと考えると、適当な道を作ることはできない。少々責任感を感じつつ登っていく。
シデ並木の道を進む。今回の山行では常に獣の足跡が登山道と並行してあった。「獣も登山道を通るのだな」と思った。
雪の中を歩くのがキツくなったので、途中少し、沢を登っていった。少々水にはまりことはあるが、雪の中を歩くよりは相当ラクだった。トレースを妙な方向に作って、後続には少々申し訳ないことをした。
杉峠直前。雪がかなり深くなってきた。雪のない時の登山道はほとんどわからない。かなりの角度の斜面を横切る場面もあり、少々緊張感を持ちながら進んでいく。
下山時に見た歩幅であるが、一歩で靴一つ分しか進めていない。雪が深く、傾斜もキツく、体力が奪われた結果である。
杉峠↔杉峠ノ頭 コースタイム25分(往復)
杉峠までが遠く感じた。雪がなければ余裕の道がここまで鬼畜と化すとは思っていなかった。
杉峠に到着。峠へ到着するだけでメチャクチャ嬉しかった。峠で達成感を得ることはなかなかない。
稜線上は風が強く、雪が吹き飛ばされているのでは?と期待しながら登っていたが、全くそのようなことはなかった。しっかり雪は積もっていた。
杉峠ノ頭への道も雪が深くかなり歩きにくかった。若干雪庇も発達し始めているみたいだったので気をつけて歩く。
杉峠ノ頭に続く雪原。山頂に続く道は木々がまばらなところもあり、雪原を歩きを楽しめる。まっさらな雪原を進む。
杉峠ノ頭周辺は木々に覆われている。木々の間を進んで行くと杉峠ノ頭に到着する。標高は1121mである。それほど遠くない道が、かなり長く感じた。それを体力の限界と考え撤退することにした。
今回は時間と体力と足の冷えが限界に達したのでイブネには行かずに、杉峠ノ頭で撤退をする。また行きます。
木々の間の道を下山する。間から見えるのは雨乞岳。
開けたところからは雨乞岳がよく見える。マッスの大きなきれいな山体である。山頂付近は木々が氷をまとっていた。山全体がキンキンに冷えてやがるっ・・・・・・・・・!
綿向山を見る。南東の尾根は木々のない草原になっているので、積もった雪がそのまま白く見えている。綿向山の雪原歩きもおもしろいかもしれない。もちろん雪のない季節に歩いてもおもしろい。
太陽の光を受ける御在所岳。西側から見ると鈴鹿の主峰という感じはない。菰野町方面の麓から見る御在所岳が主峰感がありカッコいいと個人的には感じる。
杉峠→甲津畑登山口 コースタイム2時間35分
下山がかなり長かった。登山は登るときに体力を使いすぎては行けないと改めて思った。
下りは登りにつけてきた足跡をそのまま歩くだけでよい。ただし雪はそれなりに深いので、毎歩足を高く上げる必要があり、それが体力を蝕んでいく。
夕焼けと下山道。この時点でこの色の下山道が見えるのは、登山口につく頃には真っ暗になっているので問題ではあるが、美しいものである。雪山は日が短いので、ライトは必須である。
総括
誰も歩いていない雪山は美しく、険しかった。誰も寄せ付けない雰囲気がそのまま、気高く美しい印象を作り出しているように思った。
また雪山の魅力の一つとして、雪が騒音を吸収して静かな道を歩けることにある。今回は沢沿いのルートなので静けさは乏しかったが、沢の音をクリアに聞くことができ、非常によかった。
今回はイブネまで到達することができなかったが、次回は十分に準備をした上で挑戦したいと思う。
十分な体力・装備・経験のもと、ぜひとも登ってみてほしい山である。
おまけ動画
参考までに
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