2022年9月12日。今回は塩見岳登山の3日目を紹介する。2日目に塩見岳に登り、三伏峠に戻った。3日目は鳥倉に下山するだけでも問題はないが、それだけだと味気がないので、小河内岳に登ってから下山することにした。
小河内岳へ向かう稜線からは富士山や南アルプスの峰々がよく見えて非常によかった。2日目では雲に隠れてよく見えなかったところがあるので、余裕を持った行程をたてておくことは重要だと感じた。
軽い気持ちで歩いて行ったが、小河内岳へ向かうには烏帽子岳、前小河内岳と2つのピークを超えたが、それぞれアップダウンがキツいかった。
1日目、2日目はこちらから。
誰にオススメする山か
計画を立てた当初は3日目は三伏峠から下山するだけであったが、それでは少々物足りないかと考えて、小河内岳まで往復してから鳥倉に下山することにした。
塩見岳に3日で登る行程をたてた人で、3日目に時間と体力に余裕があれば寄ってみるとおもしろいと思う。
・塩見岳に登って時間と体力に余裕がある人
・塩見岳から富士山が見えなかった場合の予備日として
・静かな山を楽しみたい人
小河内岳への稜線からも富士山はバッチリ見えるので、塩見岳に登った日に雲で富士山が見えなくとも、もう一度チャンスができる。
それほど大きくないピークが3つ並んでいるだけなので、無理して登らずにそのまま鳥倉に下山しても全く問題はないと思う。
登山コース・コースタイム
昨日同様に水場で水を補給してから小河内岳へと向かった。
コースタイムは三伏峠から小河内岳への往復が4時間10分かかる。
三伏峠から鳥倉駐車場へは3時間10分ほどの行程だ。
標高差
標高差だけなら登りは200m程度とお手軽な感じがする。そう思っていたのは最初だけで、3日目の疲労と高山病があいまってキツい山歩きになった。
三伏峠(標高2580m)→小河内岳(標高2802.0m)
また小河内岳の手前に2つのピークとコルが繰り返す。
烏帽子岳(標高2726m)→コル(標高2670mほど)→前小河内岳(標高2784m)→コル(標高2690mほど)
があり、それぞれの標高差100mほどのアップダウンで疲れが溜まった。
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★★
危険度★★
疲労度についてはアップダウンと行程の長さから、1日問題なく歩けるぐらいの体力は必要になる。
高所でのアップダウンになるので、低地と同じようなペースで行くとすぐに息があがり、キツくなる。ゆっくり目のペースでじっくり景色を楽しみたい。
危険度については塩見岳へのルートは流石に登山者が多く整備がよくされていたが、南アルプス南部へとつながる縦走路は細く、崩落しかけているようなところもあり十分な注意が必要になる。
余裕を持って歩けていれば、それほど問題になるルートではないが、疲労が溜まってきた場合には危なくなる。
登山コース
3日目の朝が始まる。9月12日(月)は平日なので、さすがにテントの数は減る。とはいえ登山者はぼちぼち歩いている。
テント場で迎える朝は何度経験しても清々しい。
三伏峠→小河内岳 コースタイム2時間20分
水場で水を補給したあと登り始める。それほど長く歩くわけではないので、荷物は少なめにして歩いて行く。水場と小河内岳方面への分岐を進んでいく。
ハイマツなどの低木の間を進んでいく。そこそこの急登もあるので、息があがらないように一定のペースを保って歩くようにする。
烏帽子岳に登頂!山頂手前から富士山の姿は見えていたが、山頂から見える景色はよい。とてもよい。
稜線からは富士山が常によく見える絶景コースだ。高所から富士山をなめまわすように飽きるまで眺めることができる。
前小河内岳に到着!烏帽子岳のような立派なものは立っておらず、岩の上に小河内岳と書かれた木の板が置かれている。
ここからまた下って、登って小河内岳に向かう。
小河内岳へ向かう稜線を見る。小河内岳山頂の少し左には避難小屋が小さく見えかわいらしい。ハイマツの海に囲まれた物語の中の家のようでとてもよい。
ハイマツの間の小道を進んでいく。山頂の避難小屋がだいぶ近づいてきた。あと少しでピークに到着する。
そこに至るまでには、あと少しの登りを頑張って登る。
小河内岳の山頂手前からの景色、塩見岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳がよく見える。また歩いてきた稜線がよく見える。
小河内岳山頂に到着!今日も快晴でよかった。伊那谷から木曽山脈の方を一望できる。
富士山もバッチリ見える。標高だけでなく、山容の美しさも日本屈指であることがよく分かる。写り込んだホシガラスもこの景色のよさをわかっているはずだ。
小河内岳には避難小屋があるので立ち寄ってみた。かなりきれいな小屋だ。7月から8月は営業小屋として素泊まりができるようだ。
ここまでの稜線からもよく見えたが、小屋からも塩見岳がよく見える。この角度からの塩見岳はどっしりと大きく見え、眺めるポイントとして優秀だ。
悪沢岳の方面もよく見える。歩いてきた稜線からも見えていたが、デカい。南アルプスの北方面の山々も大きいが近いこともあってか、迫力のある面構えをしている。
南方面も北方面も南アルプスを見渡せるのでとてもよい。
僕はまだ南部方面は未踏なので、ぜひ登りたい山である。
避難小屋のトイレと悪沢岳と富士山。このトイレのロケーションもよい。避難小屋は営業していないので、トイレも当然営業していない。
整備する人がいなければトイレが使えないのは当然のことだ。
小河内岳→三伏峠 コースタイム1時間50分
前小河内岳の方面へと戻る。ハイマツの間を進む開放的な道で気持ちがよい。来た道と同じ道を帰るとはいえ、向きが180度変わるので、新鮮な気持ちで歩くことができる。
烏帽子岳へと戻る道をみる。静岡県側はハイマツで守られているが、長野県側は少々崩落が進んでいる。その端を歩くので注意が必要である。
三伏峠から塩見岳への道はよく整備されており、危険箇所はほとんどなかったが、この南アルプスの縦走ルートは整備の手はそれほど入っていないことがわかる。
烏帽子岳から三伏峠小屋を見る。南の崩落がだいぶ近いように感じる。数十年のスパンでは崩落はそれほど進まないのだろうか。
いつかは三伏峠が崩落に飲み込まれて、姿かたちを変えるのだと思うと、諸行無常の感を拭えない。
三伏峠の近くにはマツムシソウが咲いていた。小さいながらも複雑な構造の花弁で見応えのある花を咲かせていてよい。
三伏峠→鳥倉駐車場 コースタイム3時間10分
三伏峠に到着しテントを撤収した後、鳥倉登山口に向かって戻る。後は標高差900mの道を下るだけである。
昨日、今日はテント泊の荷物を三伏峠に置いていたので、荷物が重く感じる。
この山行の中で一番キツかったのが鳥倉登山口から鳥倉駐車場までの林道かもしれない。地面が固く足裏にさらにダメージを受けた。
2日ぶりの鳥倉駐車場は懐かしい印象を受けた。
今回もお疲れ様!
総括
今回は三伏峠をベースキャンプとして3日間の山行を楽しんだ。2日目が想定外に長い行程になってしまったが、思い出深いよい山行になった。
特に南アルプスの縦走路を歩いてみたいという思いが強くなった。北岳の方からつながっている登山道を見て、また悪沢岳の方につながっている登山道を見たので、必然かもしれない。
今回は縦走路をつまみ食いする感じだが、つまみ食いもそれはそれでよい。
三伏峠から塩見岳方面は樹林帯歩きを、三伏峠から小河内岳方面はハイマツ帯の爽快な稜線歩きを楽しめる。
2つの対象的な稜線を楽しめる三伏峠はよかった。いつか再訪問したい場所になった。
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