2021年11月20日に鈴鹿山脈のイブネ・クラシに朝明渓谷から登った。
イブネ・クラシに登りたい人で朝明渓谷を出発するルート考えている人に、メリット・デメリットを紹介する。またオススメできるかどうかも解説する。
結論から言うと初めてイブネ・クラシに登るのであれば、甲津畑方面からのルートが最も容易なコースなので、そちらから登ることをオススメする。2度目以降であれば選択肢に入れてもよいコースであると思う。初めてイブネ・クラシに登る方は以下の記事を参照されたい。
またこのコースで周回する場合は根の平峠からハライドに行くのではなく、そのまま朝明渓谷に下るルートをオススメする。
登山者の多さ | 多くはない(筆者の感想) |
駐車場 | 数十台駐車可能 |
お手洗いの有無 | あり(駐車場) |
コンビニ | 登山口付近にコンビニなし |
温泉 | 希望荘 駐車場から12km 三休の湯 駐車場から700m |
どんな人にオススメする山・コースか
イブネ・クラシ自体が鈴鹿の山の中でも奥深い位置にあるので中級者以上向けのコースになると思うが、今回の朝明渓谷からのコースはイブネ・クラシへ向かうルートの中でも少々難易度が高めのコースになるので、イブネ・クラシに登ったことのある人が2度目に登るコースとしてオススメできる。
・2度目のイブネ・クラシ登山をする方
・鈴鹿山脈のマイナールートを開拓したい方
・三重県側からイブネ・クラシに登りたい方
今回は三重県から登るので、三重県方面に近い方にもオススメできる。滋賀県に行くには峠を越えるだけなので、大したこと時間はかからないが。。。
駐車場
朝明渓谷有料駐車場がある。乗用車の駐車料金は1台500円。駐車は数十台可能である。
今回筆者が訪れた時、2021年11月20日の8時30頃には満車になっていた。その場合はさらに上の施設の駐車場も解放されるようで、駐車の心配はしなくてもよいかと思う。駐車については駐車場の係員の案内に従うようにされたい。
駐車場にはお手洗いもあり、ここで登る準備を整えて出発することができる。
中峠へ向かうルートで歩き始めたが、満車になるほど車があるにも関わらずほとんど登山者と出会わなかった。多くの人は釈迦ヶ岳方面に登っているのかもしれない。
登山コース
今回は以下のルートで周回をした。結局、ハライドにも経由するのは少々疲れたので、根の平峠から素直に下山をしてもよかったと思う。
塔ノ峰・作ノ峰・高岩・クラシ・イブネ・ハライド / ずんやまさんのクラシ・ハライドの活動データ | YAMAP / ヤマップ
朝明渓谷→中峠→大瀞(神崎川)→お金峠→高岩→ワサビ峠→クラシ→イブネ→上水晶台出合(神崎川)→根の平峠→ブナ清水→腰掛峠→ハライド
長く登山道が不明瞭なところも含まれるコースになるので、十分な経験と体力を持ってる方以外は通らないようされたい。
!!初心者の方は間違ってもこのコースで登ろうとしてはいけない!!
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★★
危険度★★★
疲労度としては長い登山になるので、十分な体力がないと苦行になるだろう。もしくは下山できなくなるかもしれない。また危険度についても、やせ尾根、鎖場(ロープ)、不明瞭な登山道があるので十分な経験と体力がないと滑落や遭難の危険性がある。
特にイブネから 上水晶谷出合(神崎川)に下るコースは登山道が不明瞭な個所が多いので、読図能力が問われる道になっている。
コースタイムと登山道の状況
ここではコースタイムとあわせて登山道の状態を説明する。合計で筆者の所感も入っているが、10時間ほどの長いコースになる。
イブネへの登りは4時間30分のコースタイム。下りは杉峠経由をして根の平峠から朝明渓谷(ハライドを通らすに)に下りるコースであれば、下りが3時間45分のコースタイムである。合計で8時間10分ほどのコースになる。周回するのであればこちらのコースを推奨する。
朝明渓谷駐車場→中峠 1時間20分
初めは舗装路を歩き、途中から砂防ダムが連続する登山道を歩く。
基本的には歩きやすいが、上のように沢が崩れた部分の急登を登る部分がある。浮き石が多く滑らないように注意するとともに、落石を発生させないように注意する必要がある。
中峠→大瀞(神崎川)→お金峠→作ノ峰→高岩→ワサビ峠 2時間10分
中峠から大瀞までの道は穏やかな沢沿いの道を歩いていく。今回は登山道に大量の落ち葉が落ちていたので、下に何があるかわからない状態なので注意して歩く必要があった。大瀞では水量のある神崎川を渡渉することになるので注意が必要である。
大瀞からお金峠までは少々登山道が不明瞭なところもあるが、問題なく歩けると思う。
またお金峠からは稜線歩きになるので、登山道については見失う心配は無いだろう。基本的には歩きやすいので気持ちいい山歩きになる。
ワサビ峠→クラシ 50分
ここからは少々難所である。痩せ尾根や少々岩場があるので注意されたい。途中で登山道を見失っている人がいたが、痩せ尾根をトラバース(迂回)すると勘違いしていたようである。基本的に尾根をどんどん登っていけば問題はない。
クラシ→イブネ 20分
今回の登山のハイライトと言えるだろう。展望の開けた苔の道である。存分に楽しむようにしたい。
イブネ→ 上水晶谷出合(神埼川) 1時間30分(コースタイム無し)
イブネからの下りはイブネ北端の看板を目印にしてほしい。東側に登山道が続いている。
コースタイムは筆者の所感から予測している。YAMAPの地図上は点線ルートである。実際に登山道は不明瞭で踏み跡も落ち葉のせいか見えなかった。途中ロープを使って下りるところもあった。
登山道はよく見ると見つけることはできなくはないが、十分な読図能力と経験がなければ、このルートを採用することは避けられたい。藪こぎはなく、十分経験があれば問題なく下れるだろう。慣れない人が入れば、すぐに登山を見失い、遭難・滑落の危険性がある。
上水晶谷出合(神埼川)→根の平峠 50分(コースタイム無し)
コースタイムは筆者の所感から予測。根の平(ねのひら)と読む。鈴鹿の上高地と一部で言われている場所。登山道は落ち葉で隠れてほとんど見えなかったが、平坦で見通しがよく歩きやすい道であった。非常にいいところでオススメである。
根の平峠までは歩きやすい沢沿いの道を歩く。渡渉箇所もあるが、それほど水量もなく渡りやすい。
根の平峠→ブナ清水→腰掛峠→ハライド 2時間
ブナ清水までは登りがつづく。爽やかな沢沿いの道を進む。ブナ清水からは落ち葉のせいかところどころ登山道を見失ったが、そこそこの踏み跡があるので、注意して歩けば問題はない。
ハライド直前の腰掛峠から東西へ伸びる登山道はどちらも急登である。特にブナ清水方面から下りる道はかなりの下りになるので注意が必要である。
ハライド→朝明渓谷駐車場 1時間
個人的には標準的な登山道という感想を得た。何を持って標準とするかは難しいところであるが、特に平坦で歩きやすいということもなく、急登もほとんどない道で登山道らしい登山道ともいえるかもしれない。
標高差
標高440mの朝明渓谷駐車場から標高1160mのイブネ山頂までの720m標高差がある。標高差を記載したがこのコースはアップダウンが多いので、単純な標高差では測れない。これ以上の標高差があると腹をくくって登るべきである。
見どころ
中峠
朝明渓谷から登り始めて1時間20分ほどで到達できる峠である。一番最初に到達できるが、そこからの景色の満足感はかなりのものである。中峠で帰っても良いかと思うくらいの良さである。
鈴鹿山脈と比良山系は隣は琵琶湖を挟んで隣と言うこともあって似ているところがあるような気がする。中峠から神崎川に下りていく道は小女郎峠から小女郎ヶ池に向かう感じがあった。
峠から見る下界の景色も似たようの感じがする。下界との標高差も同じくらいなので、鈴鹿からは伊勢湾が、比良からは琵琶湖が見え、似たような風景になるのかと思う。
お金明神
山中に急に巨石が積み重なったものが現れる。下には看板もあるが、古くてイマイチ読めない。ここが神域で、この岩には何も書いては行けないようである。
イブネ山頂
イブネの山頂部分には他にクラシと銚子がある。今回はイブネ・クラシにのみ立ち寄った。
ちょうど12時頃の昼時に到着したのでイブネの山頂周辺では多くの人がランチタイム中であった。もこもこと苔が広がる上で思い思いのところに座って食事をとっていた。
山頂からは御在所岳、鎌ヶ岳等、鈴鹿の主稜線の面々が見える素晴らしい景色である。
クラシ山頂
クラシ山頂は木々に覆われていて特筆すべき点はない。他のルートから登ったときは特別感のなかったクラシではあるが、今回はワサビ峠から登ったので、イブネ・クラシの山頂の平坦部分についた感動は大きく、一番最初に来る山頂がクラシなので愛着が湧いた。
ちなみに杠葉尾口から登ってきた場合は最初にイブネ・クラシの頂上部で初めにに登頂するのは、銚子なので、銚子に愛着を覚える。
神埼川
鈴鹿山脈で登っていてよく聞く名前が神埼川である。筆者は今までいくつもの鈴鹿の山に登ってきたが、神埼川を見るのは今回が初めてである。有名どころだけあって美しい川であった。
今回見たポイントはゴルジュ(川が両側が断崖挟まれている部分)で一瞬大杉谷のよく見る写真のところかと思った。
比良山系の奥ノ深谷の川にも似ていると感じた。鈴鹿山脈と比良山系は同じ傾動山地ということもあって似たところがあるように感じる。
塔ノ峰、作ノ峰、高岩
クラシに続く稜線の峰々。特に個性の無い似たようなピークであるが、登りごたえのある稜線歩きの中継地点として役になってくれる山である。塔ノ峰はクラシに向かう稜線から反対にあるので、特段こだわりがなければ訪れなくともよい。
クラシ・ジャンダルム
別の登山者から「ここがクラシ・ジャンダルムか」と聞かれて、そんな単語は初めて聞いた。しかし言わんとするところはわかると思ったので、「そうじゃないですか」と適当に答えたが、聞かれたところより多分もう少し先の岩場かなと今は思う。
ジャンダルムというと穂高のものをイメージするが、そもそものフランス語の意味では憲兵。それを主峰を守る峰ということで前衛峰という登山用語があるので、クラシの手前のピークをジャンダルムというのは何ら間違えではないと思う。
また名前は無いが、クラシの前衛峰としてクラシ・ジャンダルムも名前がついていると、山の説明をしやすくなる。
鈴鹿の上高地
上水晶谷出合から北のあたり。これも誰が言い出したか知らないが、今では割と定着しているかもしれない。今回始めて通ってみたが、確かに少し上高地に似ている感じがした。神崎川の川沿いには平らなところが広がっている。
上高地はいいところであり、ここもいいところであった。
少々問題なのが、イブネ山頂もそうであるが、ここも当たり前のようにテント場として使用されている。鈴鹿山脈は国定公園内なので、基本的にはテント泊はしてはいけない。これについては別途記事をあげたい。
とは言えここでテント泊をするのは間違いなく楽しいと思う(アカンけど)。
ハライド
漢字で書くと「祓戸」と書くようである。御在所岳、鎌ヶ岳の周辺によくあるような花崗岩と真砂土のピークである。東(伊勢湾方面)への展望はない。
山頂からは釈迦ヶ岳とそれに続く稜線を一望することができる。この山単体で登っても面白いものになると思う。
総括
今回は長い山行になったが、鈴鹿の良いところが詰まった、良いコースであると思う。稜線歩きや渡渉、平らな道を歩いたり、急な道を登り下りしたり、変化に富んで登りごたえがあった。
また行きたいと思えるようなコースであった。ハライドについては単体で登ればよかったと思っている。長い距離を歩いた後に登る山ではなかったと思っている。なので、筆者のルートを参考にされる場合はハライドは外していただきたい。
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