2021年5月初旬に登った記録(Day2)。残雪の残る季節に1泊2日で南アルプスにある百名山の鳳凰三山に登ってきた記録の2日目を紹介する。標高差の紹介まではDay1と内容がほとんど同じなので、1日目を読んでいただいた方は読み飛ばしてほしい。
青木鉱泉からドンドコ沢コースで地蔵ヶ岳に登り、鳳凰小屋で1泊して観音ヶ岳、薬師ヶ岳と縦走をして中道コースから下山をした。1日目は以下の投稿から。
鳳凰三山とは地蔵ヶ岳、観音ヶ岳、薬師ヶ岳の3つの山を総称してつけられた名前である。一説には地蔵ヶ岳山頂の岩(オベリスク)が鳳凰のくちばしに見えるからという話もある。
鳳凰三山に登りたいあなたに向けて、体力面や登山道について参考情報を紹介する。結論からいうと、体力面では1泊2日の行程になりかなりの距離と標高差を歩くので、中級者以上でないと歩けないコースになっていると思う。
技術面では、特に危険箇所は存在しないルートになっているので体力があれば登れるが、十分な体力と経験を有する人だけが登って欲しい山である。
登山者の多さ | 多くはない(5月初旬) |
駐車場 | あり |
お手洗の有無 | あり |
コンビニ | なし (食料などは事前購入が必要) |
温泉 | 青木鉱泉(登山口) |
どんな人にオススメする山・コースか
鳳凰三山に初めて登りたいという方にオススメできるコースである。今回のコースは青木鉱泉を起点にドンドコ沢コースから登り、中道コースから下山するルートである。車を駐車した青木鉱泉に三山を縦走した後に戻りやすいルートなのでオススメである。
ドンドコ沢コースは滝が連続する見ごたえのある登りのコースになるが、中道コースは樹林帯が延々と続くおもしろみに欠けるコースになる。中道コースは唐松の林が延々と続く単調なコースである。
筆者と同行した友人はドンドコ沢はキャッキャウフフなテンションで登ったが、中身コースの延々と続く下山路に辟易し、殺伐とした雰囲気で歩みを進めた。ある意味、危険な登山道かもしれない。
・初めて鳳凰三山に登る方
・三山の縦走をしたい方
・登りごたえのある山に登りたい方
・下山後に温泉に入りたい方
かなりの距離と標高差を歩くので、そのような長いルートでガッツリ登山をしたいという方にオススメできるコースであると思う。また下山後には温泉も待っているので、長い下りを進むモチベーションにもなる。
駐車場
青木鉱泉の駐車場に停めるとことができる。旅館で駐車料金を支払う。(1日750円、1泊1500円)
青木鉱泉は旅館になっており、宿泊することができる。趣のある建物なので、一度宿泊してみたいとも思う。宿泊なしでも入浴のみの利用もできる。下山後にはぜひ入浴してから帰宅したい。入浴のみは1000円。
青木鉱泉まではすれ違いが困難な狭い道や未舗装のところもあり注意が必要である。こんな道を通るのかと思うところもあるが、看板もあるので、進んでいくとよい。
登山口までの道が狭いのは登山者であれば了解していることかと思うが、百名山はよく整備されている所が多いので、このようなところもあるのだと思った。
登山コース・コースタイム
今回1泊2日で登っている。本稿では2日目を紹介する。YAMAPのログでも2日間に分けている。
観音岳・薬師岳2019年5月6日 / ずんやまさんの薬師岳(山梨県)・鳳凰山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
1日目
青木鉱泉→ドンドコ沢コース→鳳凰小屋→地蔵ヶ岳→赤抜沢ノ頭→鳳凰小屋(テント泊)
2日目
鳳凰小屋→観音ヶ岳→薬師ヶ岳→中道コース→青木鉱泉
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。☆は★半分。
疲労度★★★(残雪期は★★★☆)
危険度★★(残雪期は★★★)
疲労度について
長いコースになるので、必然的に体力が削られる。鳳凰小屋から標高500mほど登って後は下るだけであるが、その下りが異様に長い。心身が元気であれば問題ないかもしれないが、登山2日目は少々疲労しているので、長く感じたのかもしれない。
今回筆者が登ったのは残雪期だったので、雪の中を歩いたので余計に体力を消耗したので、☆を一個足している。下りはかなりの踏み抜き地獄であった。また危険度についても滑る危険性があるので★を一つ足している。
危険度について
危険箇所は特にはないので、心配する必要はない。しかし登山は危険を伴うものである。気をつけて歩いていれば、ほとんど問題無い道ではあるが、疲労でヨロヨロしてしまう場合もあるので注意が必要である。体力を消耗すればするほど、危険度は上がっていく。
標高差
鳳凰小屋(標高2382m)→観音ヶ岳山頂(標高2840.7m)→青木鉱泉(標高1100m)
2日目は鳳凰小屋からスタートなので、標高差おおよそ500m程を登るだけである。ここで注目すべきは登る標高差ではなく、下りの標高差がおおよそ1700mなことである。
筆者の所感では1000mを超える標高差の下りはかなり長く感じる。それを700mもオーバーしているとなれば、延々と続く下りの出来上がりである。
初心者であれば地獄を見るかもしれない。中級者であればキツいが問題は無いだろう。日本アルプスは一部をのぞいては中級者以上の登山者が登ることが望ましい。
ちなみに地蔵ヶ岳(標高2764m)のほうが標高が高そうであるが、観音ヶ岳のほうが標高が高い。また鳳凰三山の南端の薬師ヶ岳(標高2780m)も地蔵ヶ岳よりも高い。見た目の派手さに惑わされるが、標高に関しては「地蔵ヶ岳は鳳凰三山の中でも最弱…!」なのである。
コースタイム
鳳凰小屋→観音ヶ岳 →薬師ヶ岳(二山縦走)
登り:2時間5分
薬師ヶ岳→青木鉱泉(中道コース)
下り:4時間40分
コースタイムはあくまでも目安である。
今回、筆者は1日目に地蔵ヶ岳に登頂しているので、鳳凰小屋から観音ヶ岳の手前の稜線に出るコースで登った。このコースだと薬師ヶ岳まで2時間ほどかかる。
多くの人は1日目に地蔵ヶ岳に登らずに、2日目に地蔵ヶ岳に登り三山を縦走するかと思う。その場合は以下の通り1時間ほど追加で時間がかかる。鳳凰小屋からのトータルではコースタイムで8時間ほどになるだろう。
三山縦走する場合:鳳凰小屋→地蔵ヶ岳→観音ヶ岳→薬師ヶ岳 コースタイム3時間5分
合計の時間的には1日目に地蔵ヶ岳に登ったほうが1時間ほど長くなる。そのあたりは各人の好みなので、判断してほしい。
登山コース
道は整備されて歩きやすいところがほとんどである。残雪期は踏み抜き地獄であった。縦走路は好展望の楽しい道であった。
鳳凰小屋→観音ヶ岳 コースタイム1時間35分
鳳凰小屋からは樹林帯から始まる。今回は樹林帯を抜けると雲海と朝焼けが見えてきた。
樹林帯を抜けると一気に展望が開ける。まず北側にお目見えするのは「南アルプスの女王」とも呼ばれる仙丈ヶ岳である。非常に美しい山塊である。
登山道は南アルプスでは甲斐駒ヶ岳と同じように花崗岩が風化してできた、白っぽい真砂土の上を歩いていく。斜面はザラザラと滑らないように注意されたい。
さらに進んでいくとさらに展望が開ける。ひときわ目をひくのは日本2位の高峰の北岳(標高3193m)である。その左には3位(4位?)の間ノ岳(標高3190m)が続く。
日本屈指の稜線を間近で眺めることができる。
登山道を振り返ると奥に甲斐駒ヶ岳が見えてくる。また地蔵ヶ岳のオベリスクのよく見える。さらに歩みを進めて登山道を振り返ると八ヶ岳が見える。
そこそこ急なところもあるが景色がよく、立ち止まって眺めながら登るので疲労はそれほどない。
観音ヶ岳山頂標高(2840.7m)は岩で構成されており360度の展望がある。山頂までの道はザレた道である。
雲海が美しい景色を作り出していた。下界の姿は見ることができなかったが、大満足である。
観音ヶ岳山頂から薬師ヶ岳までは30分程度、すぐに歩けてしまう距離である。
観音ヶ岳→薬師ヶ岳 コースタイム30分
雪に埋もれたハイマツの上を歩く。雪がなければハイマツの間を歩くルートになるのだろう。
薬師岳山頂(標高2780m)。ここまで歩いて来れば、かなり北岳にも見慣れてくる。しかし、その景色から離れるとなると名残惜しい。
山頂の南側は岩が溢れていた。
薬師ヶ岳からは下山を開始する。
薬師ヶ岳→青木鉱泉 コースタイム4時間40分
下りのみで4時間40分の下りである。それは永遠に続くかのような下りである。
5月初旬は雪が残り、踏み抜き地獄となっていた。中腹からはガスが立ち込めていた。山頂から見えていた雲海は中から見るとこのような感じになる。
幻想的な雰囲気の下山を進む。途中からは唐松の林になる。これもまた長い。
数字で見ると、「そうか!」ぐらいにしか思えない下山コースタイム4時間40分であるが、実際に歩くと本当に長い。あまりの長さに筆者と同行の友人はほとんど話しをせずに殺伐とした雰囲気で下山をした。
また登山道を下りきってからの林道も少し長めであり、青木鉱泉についたとき達成感は山頂についたときよりも大きかった。
総括
前回の記事では、青木鉱泉から地蔵ヶ岳山頂までを扱った。本稿では鳳凰小屋から二山を縦走して下山したが、登山の疲労の本質は下山にあると実感した。
登りは山頂に到着するというモチベーションが大きいが、下山は駐車場につくというモチベーションに全くならない目的地になる。また、筋肉的にも下りは筋肉が長くなりながら力を発揮する、伸張性収縮をするので筋肉に登り以上に負担がかかる。
登るだけでなく、下山するまでが登山であるとこを思い知らされた登山であった。
コメント