2022年6月25日。保月から鍋尻山に登って河内に下り、権現谷を通って保月に戻った。
鍋尻山だけに登頂したい場合は、保月から登り、同じ道で保月に下りるコースが一番カンタンでオススメする。それでは物足りないという人は今回のコースを参考にしていただければと思う。
鍋尻山と河内の間は踏み跡の薄いところもあるので、注意して歩く必要がある。権現谷は舗装路であるものの、落石が進んでいるので安全とはいえない。またそこそこ長いので時間がかかる。それを理解した上で周回してほしい。
また保月まで車での通行が困難なので、その点にも注意が必要である。
誰にオススメする山か
今回は山登り玄人、特に鈴鹿に十分に慣れた人にオススメする。保月からの登りは容易いが、アクセスが困難で、眺望も十分とはいえないので鈴鹿初学者にはオススメできない。
正直なところ登っていないのであれば、先に鈴鹿セブンマウンテンといった有名どころを優先したほうがよいと思う。それに飽き足らず、さらに鈴鹿を深く探索したいという殊勝な心がけを持った人であればオススメできる。
・鈴鹿の山村(廃村)に訪れたい方
・鍋尻山という名前が気になっている方
・鍋尻山の形が気になる方
また登山口へのアクセスが岐阜県側からでも、滋賀県側からでも悪い。荒れた箇所のある林道を進んで来る必要がある。山での運転に慣れた人のほうがよいだろう。
河内の風穴付近からの登山口もあり、こちらの方が車でのアクセスはマシである。しかし登山道は決して整備されている代物ではないので、注意が必要である。
保月の集落は山村として興味深い。ここを訪れるだけでも面白いかもしれない。
3月頃であれば福寿草が咲くそうなので、それを狙うのもよいかもしれない。
駐車場
保月の集落の一番高いところに「P」と標識があったので、そこに駐輪した。数台は駐車できる。
登山口はここから林道を少し登った先にある。地図は以下を参照してほしい。
駐車場すぐ下の脇ヶ畑小学校跡に公衆便所があるが、コンディションは非常に悪い。この渋さを楽しめる人はよいかもしれない。
便器はあるものの、そもそも使ってよいかも微妙な感じなので、個人的には使わないほうがよいのではと思う。
北側から登る際は、河内の妛原(あけんばら)に駐車できる場所がある。
口権現付近に駐車がある。目安として地図をはる。
登山コース・コースタイム
コースは保月→鍋尻山→河内(妛原)→河内の風穴→権現谷→保月 で回った。おおよそ5~6時間程度で周回できるだろう。
保月→鍋尻山コースタイム45分、鍋尻山→河内コースタイム1時間30分、河内の風穴がおおよそ30分程、河内→権現谷経由→保月2時間30分である。コースタイムはYAMAPを参照している。
YAMAPの軌跡はこちらから。
鍋尻山 / ずんやまさんの鍋尻山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
標高差
標高差は保月からなら220m程とすぐに登れる。初心者でも容易に登れるだろう。河内からは標高差600m程とそこそこ登る必要がある。
保月(標高610m)→鍋尻山(標高838.2m)→河内(標高230m)
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★
危険度★★
疲労度については600mほどの標高差なので、それほどキツくはない。初心者から中級者レベルである。。舗装路を歩く距離がそこそこあるので、苦手な人はキツイだろう。歩月から登るだけであれば、特段体力は必要ない。
危険度については鍋尻山の北の登山道は登山道がわかりにくく、滑りやすいところがあるので、注意が必要になる。
また舗装路をなので、基本的には登山道よりもリスクは小さい。しかし権現谷は落石が多い。あらぬ方向から石が落ちてくる可能性もあるので、リスクを避けたい人は通らないほうがよいかもしれない。
登山コース
保月→鍋尻山 コースタイム45分
保月の集落は中々興味深い。山村に興味がある人であれば、ここを目的地するのだろう。すでに昭和の時点で廃村になっているようである。ただし通っている家主もいるようで、完全に忘れられた地にはなっていない。
ユーチューバーが名指しで通告されていた。通告などなくとも空き家に侵入するのは犯罪行為。
八幡神社にもよってから登山を開始する。
保月からの上りはなかなか急である。杉林を抜けると、少しシダの草原のようなところがあり、歩きやすい。
今回は登りに1匹ヤマビルと遭遇した。基本的にはヤマビルは覚悟をして来ていると判断して始末している。しかし踏み潰しても「効かねえ!ゴムだから!」とな感じで復活してくる。
今日はあまり山ビルが多くなかったので、吸血されなかった。数が少なければ、警戒すれば吸血されることはほとんどない。しかしいくら警戒しているといっても、ヤマビルの密度が濃すぎるとやられることがある。立ち止まるとドシドシ上ってくるぐらいの多さになると、警戒していてもやられる。
それほど登られると山歩きが楽しくなくなってくるので、あまりに多いところは避けるべきなのではないかと思う。ヤマビルと遊びたいならそれもよいと思う。
登山道は整備されているので、歩きやすくなかなか歩きやすい。所々に草で覆われているところもあるが、おおむね邪魔になることもないので、特に問題なく登れるだろう。
メインの登山口がある保月の集落が標高600mほどなので、山頂の標高838.2mまで遠くはない。ゆえに保月から登ればすぐに山頂に到達することができ、らくらく登山を楽しめる。
霊仙山や御池岳など、この山域でよく見る苔むした石灰岩の道を進む。ここで少々道を見失ったが、上に登っていく道を注意して見つけることができる。
また山頂手前には眺望が良いところがあり、御池岳方面をよく眺めることができる。 山頂には眺望がないので、、眺めるのがあればここをオススメする。
基本的には同じ道を行き帰りするピストンでの山行をオススメする。なので行きか帰りのどちらかに、ここで休憩するのがよいのでは無いかと思う。
山頂に到着。山頂看板は青い実をつけたクルミの木の下にあった。山頂に眺望はなし。
ここから北の河内に向かって下る。
鍋尻山→河内 コースタイム1時間30分
体力と時間に余裕あれば、河内方面に下ること選択してもよいと思う。登山道が不明瞭なので、万人にはオススメできない。
草で覆われているところ、急で滑りやすいところ等、保月からの道と比較して、少々ハードになる。
ただし北へ少し下ったところで、霊仙山がよく見えるのでそこまで下って、霊仙山の勇姿を眺めるのはオススメできる。
ここからの下りが少々曲者である。粘土質の急斜面を歩くと間違いなく「滑る」。急斜面の粘土質の登山道滑らずに降りるなんて不可能なことである。氷の上を歩いたら滑るのと同様に滑る。
登山技術としては足裏全体での接地して、地面につく面積を広げることで、滑りにくくする理論があるが、滑ることには変わりはない。
確かにかかとから接地することと、足の裏全体で接地するのではずいぶん差が出てくる。それは滑りにくくなるということに過ぎない。滑ることには変わりはないので、覚悟して下る。
苔むした岩の間を縫うように進んでいく。
更に下ると標高650m付近で、シダ草原が広がっている。 そこを進むと標高696mピークがある。特に何があるということはないが、山の上の草原を歩くのは楽しい。
ちょっと興味があれば歩いてみるのが面白いかもしれない。
標高650mより下は粘土質がマシになって、若干滑りにくくなる。少し歩きやすくなるが、下りが急なことは継続するスギ・ヒノキ林の植林地帯を下っていく道になる。
この林を管理している人が歩いた跡が、まばらにあるので探しながら下っていく。 まばらにある上、明瞭ではないので十分に注意しながら下る必要がある。
植林地帯を抜ける、広葉樹林の尾根に到達すると踏み跡が明瞭になる。
下りはそこそこ急なのだが、登山道が歩きやすいよう作成されている。それほど急な坂道をまっすぐ下るという形ではなく、ジグザグに道があるので、比較的ゆるい下りを歩く感じになるので歩きやすい。
北のルートはYAMAPで点線のルートになっているが、植林地帯まで登るのであれば上りやすくはある。
少々開けたところもある。琵琶湖方面が見える。
妛原(あけんばら)登山口は家屋の前を通るダイナミックなことになっていた。「ええんか」と思いながら、軒先を通った。おそらく空き家かと思われる。
この妛原の集落も空き家が多そうではあるが、老夫婦の仲睦まじい様子(実情は知らんが)が見れてよかった。
河内から鍋尻山の北ルートは、総じて歩くのが難しい。山歩きに慣れた人以外は通らないほうがよいだろう。
保月からの南ルートは歩きやすく、すぐに登れるゆえに初心者でも楽しめる。 しかし慣れた人には少々物足りない。登山に慣れた人は北からの登りごたえのあるコースを登ることをオススメする。僕自身も北のルートは下りごたえがあり楽しめた。
河内の風穴 30分ほど観光
河内にその後せっかくなので河内の風穴が近かったので風穴に入ってみた。
駐車する場合の料金は400円。洞窟内に入るのは大人500円、子ども300円かかる。
洞窟内に入るまでは少々の山道を歩く。整備されているので、歩きやすい。
登山者は他の観光の方から少々浮いた雰囲気を持ちながら観光することになる。
洞窟内はかなりひんやりとして涼しい。登山でホテった体がかなり冷やされて気持ちがよかった。
河内の風穴は鍋尻山の西隣の山の下にある。このように広い空洞があるというのは驚く。
風穴の中で面白いのは、毎日ライトに照らされるので、光のない洞窟内でライトの下だけ植物が生えていることである。
想像の域を出ないが、持ち運んだのはコウモリなのだろうと思われる。コウモリに偶然ついていた種子が落ちて偶然生えたのだろう。洞窟内でも生える、たくましさ、また生まれの不幸を感じた。
河内の風穴上流のエチガ谷を登って保月まで帰ろうとしたが、観光地から沢に入るのはよろしくないと思い断念した。また前情報なし、装備もないので、権現谷の方から保月に帰るルートを選択した。
あとから調べるエチガ谷は普通に遡行できるようである。途中から伏流して涸れ沢になっているようである。たしかに河内の風穴の入口辺りから水の流れる音がなくなっていたように思う。
また遡行する際は河内の風穴への入場料が必要なのか問題がある。ややこしいので、500円くらい払うのが好ましいと思う。
河内→権現谷経由→保月 2時間
妛原(あけんばら)の口権現から7.7kmで保月に到着する。予想時間はGoogleMapからだが、YAMAPのコースタイムを感覚的に算出すると2時間30分ほどになるのではと思う。
権現谷はそれほど舗装路で急な登りはない。距離が長いので少々疲れる。
今日のテーマは鍋尻山に登ることだったが、裏テーマは沢歩きを楽しむことだった。
沢沿いに道があるために軽い沢歩きを楽しむにはよいかと思い歩いてみた。砂防ダムのようなところが所々にあるので、見えたら道路に戻ればよいというゆるさで楽しんだ。
権現谷の沢は基本的には水深が浅い。水質はそこまでよくはない。何度も渡渉を繰り返しながら、歩きやすいところを進んでいった。
滝がいっぱいあるような沢の練習にはならないかもしれないが、シンプルな沢歩きの雰囲気をつかめる。一度、ここで試してみるのもありなのではないだろうかと思う。
権現谷は落石が異様に多い。なぜ道に石が散らばっているのかという答えはすぐに理解した。現在進行系で崖が崩落している。
僕が歩いた時も石が2度ほど崖の上からスマホサイズの石がゴロゴロと落ちてくるのを目撃した。
この道を車で走るのはよくないかもしれない。また普通に歩くにしても十分に注意して歩く必要がある。音に気づかずに落石に直撃もあるかもしれない
権現谷には屏風のように切り立ったところもあり、見応えがある。舗装路ではあるものの、歩いていて面白かった。
ゆったりとした坂道で逍遥を楽しめる。ランブラー(逍遥者)としての血が騒ぐ。森林浴が楽しめる。
途中で河内行者窟なるものがある。鳥居のところまで近づいたがよくわからなかったので、礼だけして戻った。帰宅したあと調べると上まで登れて、穴があるらしい。今度は行ってみたい。
沢の水は割りと序盤で伏流して水はなくなる。かつては水流があった時期もあると見られる。
さらにしばらく歩いてくと保月の集落に戻る。約8kmとなかなか長い道のりだった。
総括
今回はメインのはずだった鍋尻山より、権現谷が気に入った。権現谷はやはり何かが権現している。鍋尻山もよかったが。
「権現」とはデジタル大辞泉によると「 仏・菩薩が人々を救うため、仮の姿をとって現れること」とある。どの仏か菩薩かはわからないが、やはり何かが権現しているように感じてしまう。
「山に登ることは仏や神に近づくことである」と山に登ると思う。普段は信心深くない僕であるが、山に登ると神や仏を感ぜざるを得ない。とにかく何が言いたいかというと、「権現しているぞ」ということである。
今回は権現谷という名前にひかれてそのように思ったのかもしれない。コンクリートで舗装されている道ではあるものの、趣深い道で気に入った。
落石が多いので十分に注意するべきである。もちろん落ちてくる石だけなく、道路に石が大量に転がっているので、それに注意する必要がある。
ちなみにバイクでの帰宅途中、目の前を落石が横切った。大きな石ではないが数秒先に進んでいれば、直撃していただろう。
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