比叡山坂本から本坂ルートを経て大比叡山に登り、きらら坂を経て修学院駅に下った。
坂本からは登りの傾斜はそれほどキツくなく、広めの道で間違える心配も少ない。
修学院までの道は坂本からの道ほど広くはないが、整備された登山道があり、難易度はそれほど高くない。
全般的に歩きやすい道が続く。各所に史跡がある歴史を感じさせる道だった。
誰にオススメする山・コースか
比叡山延暦寺へ徒歩で歩いて見たい方にオススメする。山中の自然については特筆すべき点はないので、低山の針葉樹林帯が好みでなければドライブウェイかケーブルカーで山頂にアクセスしたほうがよいと思う。
・延暦寺に歩いて参拝したい人
・琵琶湖の景色を楽しみたい人
・京都の景色を楽しみたい人
低山の針葉樹林帯も好みであれば、歩いて詣でることをオススメする。麓から森林浴を楽しめて気持ちがよい。ただし夏はかなり暑い。
坂本からの道では琵琶湖(南湖)がよく見え、修学院への道は京都の街がよく見える。両方ともよい景色だ。
駐車場
今回は比叡山坂本駅にバイクを置いて登り、修学院駅から電車で比叡山坂本駅まで戻った。
車は駅の東側へ下ったところに1日500円でパーキングできる駐車場がある。琵琶湖沿いの道から比叡山坂本駅に向かうと、目立つ看板があるので、迷うことなくたどり着けるだろう。
バイクは自転車駐車場に停めることができる。駐輪場は道路を渡った駅の北側の第1駐輪場と、下の写真から左(南)に行ったところにある第2駐輪場がある。126cc以上のバイクは270円で駐輪場できる。
7月10日は駐車場は空いていたが、紅葉の時期などのハイシーズンはどうなるかはわからない。
もしくは少々離れるが、大宮川観光駐車場が無料なのでそちらを使用してもよいかもしれない。
登山コース・コースタイム
今回は比叡山坂本駅→(滋賀院)→(日吉大社)→本坂→延暦寺→きらら坂→修学院駅というルートで歩いた。YAMAPの記録を参考にあげる。
大比叡・四明岳・修学院山 / ずんやまさんの四明岳・比叡山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
コースタイムで5時間30分程度の行程である。しかし速く歩ける人であってもこの時間内に歩くことは難しいだろう。延暦寺を含め、見所が多すぎる。少なく見積もっても2〜3時間は見学などの時間が必要になるかと思う。
僕は13kmほどしか歩いていないが、時間は8時間30ほどかけている。延暦寺はもちろんのこと、坂本付近も見どころが多いので、くれぐれも余裕を持った時間配分で計画をたててほしい。
標高差
比叡山坂本駅(約標高100mほど)→延暦寺(標高700mほど)→大比叡(標高848.1m)→修学院駅(標高80mほど)
最高峰は大比叡の標高848.1mで、寺院のあるところからは150mほど登ることになる。比叡山坂本駅がからの標高差はおおよそ標高100mから登るので750mほどの標高差になる。
標高差にするとそこそこ歩く気もするが、歩きやすい道なので、それほどキツくは感じなかった。
疲労度・危険度
毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。
疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。
疲労度★★★
危険度★
疲労度については登って下りるだけでも多少の体力は必要だ。さらに延暦寺の寺院を拝観するとなると、さらに体力に余裕を見ておきたい。寺院の拝観は楽しいが疲れる。
山頂の境内は広く、見ごたえがあるために、登りで疲れてしまう人は交通機関を利用することをオススメする。
危険度については特に危険性はない。気をつけて登山をすれば問題はない。雨で地面が濡れているときは滑らないように注意が必要になる。
登山コース
YAMAPを参考にコースタイムを記すが、それぞれの寺社の見学時間は含まれていない。
比叡山坂本駅→日吉大社 コースタイム25分
比叡山坂本駅から西の比叡山に向かって歩みを進める。坂になっている方に進んでいけばカンタンだ。比叡山坂本駅からの道は日吉大社の参道で鳥居がある。日吉大社のすぐ南が今回の登山口だ。
地形図を見るとわかるが、京阪の坂本比叡山口駅より西には数多くの寺院がある。ここを回っていると、それだけで1日が経過する。見物はほどほどにして進んで行くしかない。
それでも見どころがあれば看過できないのが、旅人の性である。本通りから離れて、小道に入ればすぐに味わいある道を楽しむことができる。
適当に歩いてたどり着いたのが、延暦寺の里坊「滋賀院」という寺院である。滋賀院のパンフレットによると「里坊」とは生涯を延暦寺で過ごすべき僧侶が、高齢などの理由で里に住む許可を得て住んだ場所をいう。現在は54箇所残っているという。
縁側からは琵琶湖、近江富士を眺めることができる。和風建築最高!滋賀院は大体30〜40分見学した。
本坂から登る前に隣に日吉大社があるので立ち寄った。古くから比叡山の山の神を祀っているといわれ、延暦寺とも関係の深い神社だ。「神猿(まさる)」もいる興味深い神社である。
日吉大社の東本宮も立派な建物がたっている。西本宮のほうが人が多く、東本宮は少々静かな雰囲気でよい。日吉大社は大体30分ほど見学した。
本坂登山口→延暦寺 コースタイム2時間
日吉大社南に比叡山延暦寺へと続く階段がある。整然としており、厳かな気持ちになる。背筋を伸ばして進んでいく。
上の階段と舗装路を進んで振り返れば、琵琶湖と近江富士(三上山)が見える。坂本付近では建物の間でも、このような景色がみれてよい。
途中に階段と舗装路の分岐があるが、どちらを選んでも問題はない。僕は右の階段の方を選択した。階段の一番上に扉のようなものがあるが、通れるので特に問題はない。
上の階段以降は舗装路ではなくなり、登山道が始まる。悠久の歴史を紡いできた登山道は雨水などで少々侵食が進んでいる。ガレた石の間を進んでいく。
石が散らばっている以外に歩きにくさはなく、道もさすがに明瞭なので、迷う心配はない。
途中に看板があったので、「花摘堂跡」によってみた。ここは最澄の母が比叡山の最澄の房を目指して来たが、女人禁制でここから進むことができず、最澄が山を下って母と会ったといわれる。
高野山でも似たような話がある。空海を訪ねた母が麓の慈尊院まで来て、空海が山を何度も下って会いに行ったという。
さらに侵食の進んだところもある道を進んでいく。それほど急ではなく、傾斜が一定なので自分のペースで焦らずに歩いていけば、難なく延暦寺にたどり着ける。
山の中の建物は独特のにおいがする。特に人が全く手を入れていない木造建築はカビのにおいが強い。少し離れたところからでも気づけるくらいのにおいがある。
また歩みを進めていくと、法然上人の得度(仏門に入ること)したといわれる場所がある。法然上人は浄土宗を開宗した人物で、浄土宗の主たる教えは「南無阿弥陀仏ととなえれば、すべての者が救われる――。」(浄土宗HPより)だ。
一応は浄土宗の宗徒なのではずせないスポットであった。
延暦寺が近づいてくると、舗装路に変わる。最後の坂を登れば、延暦寺会館の隣に出る。
延暦寺→大比叡 コースタイム35分
延暦寺は見学しようとすると何時間でもできる。見学時間は2時間以上、最低でも1時間は見積もっておきたい。
比叡山延暦寺と呼ばれるが、延暦寺という建物があるわけではないが、中心となる総本堂は根本中堂だ。現在(2022年7月10日)工事中で外観を見ることはできない。建屋の中に入ることはできる。工事の終了は2026年を予定している。
根本中堂に入り、仏の前では背筋が伸びる。信仰心はそれほど持ち合わせてはいないが、畏敬の念は抱かずにはいられない。寺社に行くと毎度このようなことをいっているので、実際は僕は敬虔な信者なのかもしれない。
雨というより、山屋の用語でいうとガスっているだけであったが、琵琶湖八景の一つに選定されている「煙雨 比叡の樹林」を見れた。
「琵琶湖八景」とは1950年に制定されたもので、江戸時代からいわれる「近江八景」が南湖付近でばかりであったものに対して作成されたものらしい。
「琵琶湖八景」、「近江八景」については以下の滋賀県のページが詳しい。
延暦寺の境内は広く、東塔、西塔、横川の3つのエリアがある。今回は根本中堂のある東塔エリアだけを歩いた。横川エリアは特に遠く、交通機関を使っての移動が望ましい。
阿弥陀堂と法華総持院東塔に参り、先に進んでいく。
こちらの裏手から山頂への道がある。看板がありわかりやすい。
ガスで神秘的な雰囲気の山道を歩く。山頂までの道はジグザグに作られているので、傾斜はゆるやかで歩きやすい。
今回は山頂付近が工事中で、迂回路を通った。山頂付近につながる舗装路を歩いた。駐車場へ行く道と山頂方面への分岐があるので、山頂へ向かって歩く。
大比叡山頂に到着!一等三角点がある。木々に囲まれていて特に眺望はない。高野山もそうであったが、付近の最高峰に特に大きな意味は持たせていない。最高峰に登りたがるのは登山者の性である。
大比叡→きらら坂登山口 コースタイム2時間10分
大比叡から下り駐車場方面に進む。駐車場からは京都方面に下っていく。四明岳の横を通り過ぎて行く。
ケーブル比叡駅までの道は広く歩きやすい。どんどん歩いていく。
ロープウェイ比叡駅を見下ろす。ここからは京都の街北部がチラ見えする。
ケーブル比叡駅からは京都の街がよく見えるインスタ映えなスポットがある。京都タワーなど京都駅方面までは見ることができないが、御所などはわかりやすく見える。
ケーブル比叡駅の横の階段から修学院駅へと向う登山道が始まる。
ケーブルカーはあまり見ることがないので、見るとつい写真を撮ってしまう。
修学院駅へと続く、この道は京都一周トレイルの道にもなっており、整備され、歩きやすい道になっている。
途中には京都をよく眺めることができる休憩所がある。ここでまったり景色を楽しんだ。よい雰囲気でのんびりできる。
平で歩きやすいところもある。少々急なところもあるが、基本的には傾斜はそれほどキツくなく、歩きやすいところが続く。古から多くの人が歩いてきた道は、最適化が進んでいて、難所は避けられているように感じる。
きらら坂の登山口には看板があり、わかりやすいので迷うことはないだろう。今は舗装路がしかれているが、かつてはどのような雰囲気だったのか想像がふくらむ。
きらら坂登山口→修学院駅 コースタイム25分
あとは修学院駅へと向かって川沿いの道を進んでいけば街なかになる。
今回もお疲れ様!
総括
今回は5月ごろに高野山へ行ったので、比叡山へも行ってみようということで登ってみた。以下は高野山の記録だ。
学校で最澄が天台宗、空海が真言宗というのを「天最」、「真空」(高野豆腐を真空パックみたいな)のように覚えていた。そして各宗派への理解はその程度であった。
今回は2つの宗派の山に登ったことで、まだまだ表面的なことだけであるが、雰囲気の違いを感じ取ることができてよかった。
2つの山の違いは聖と俗の分離がされている比叡山と、聖と俗が混ざる高野山ということにある。分離することで神聖な空気を保つか、混合させて寛容さを見せるかという宗祖の考えの違いがおもしろい。
山上の寺院の広さでいうと圧倒的に高野山がスゴいが、比叡山は麓と山上との分離が明確なので山上の規模はそれほどでもない。坂本や京都方面も比叡山の一部として考えるのであれば、規模はむしろ比叡山が大きいとも思える。同時代の2人の大師が大陸から仏教を異なった形で展開した点が興味深い。
天台宗と真言宗の総本山に訪れたことで、それぞれ対する興味が湧いたので色々調べて見たいと思う。山と宗教の関係は深く、山に登ることは宗教を学ぶことなのではないかとも思う。
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