鳥倉駐車場から三伏峠に登りテント泊(塩見岳1日目)

南アルプス

2022年9月10日~9月12日で鳥倉から塩見岳に登ってきた。1日目は鳥倉から三伏(さんぷく)峠に登り、2日目は三伏峠から塩見岳をへて蝙蝠岳までを往復し、3日目は三伏峠から小河内岳へ往復し鳥倉に下山した。

今回は3日間の山行の1日目を紹介する1日目は鳥倉駐車場から登り、三伏峠小屋でテント泊をした。歩いた時間は4時間足らずの手軽な散歩のような感じだった。

鳥倉から三伏峠への登山道はそれほどの急登はなく、よく整備された歩きやすい登山道だった。日本一標高の高いという三伏峠は居心地がよかった。

途中で雨が降ってきたものの、広い登山道で風がなかったので、折りたたみ傘をさして歩けた。

2日目は以下のリンクから。

鳥倉から塩見岳に登るパターンの検討

塩見岳に登るのであれば三伏峠か塩見小屋で1泊するとよいと思う。体力的に問題がなければ鳥倉から日帰りで往復もできるだろう。

今回塩見岳に登るにあたって、いずれも鳥倉出発で検討した行程は以下の3つである。体力的には上からに健脚向けのパターンになっている。

①日帰りパターン(かなりの健脚むけ)

~鳥倉から塩見岳まで1日で往復~
日帰り:鳥倉駐車場→塩見岳→鳥倉駐車場 コースタイム 14時間 

②1泊2日パターン(1日7時間程度歩けるならOK)

~1日目に塩見小屋まで登り1泊して、2日目に塩見岳登頂して鳥倉に下山~
1日目:鳥倉駐車場→塩見小屋 コースタイム 6時間40分ほど
2日目:塩見小屋→塩見岳→塩見小屋→鳥倉駐車場 コースタイム 6時間40分ほど

③2泊3日パターン(余裕のある行程)

~1日目に三伏峠小屋で1泊、2日目に三伏峠と塩見岳を往復、3日目に三伏峠から鳥倉に下山~
1日目:鳥倉登山口→三伏峠 コースタイム 3時間50分
2日目:三伏峠→塩見岳→三伏峠 コースタイム 7時間20分
3日目:三伏峠→鳥倉駐車場 コースタイム 3時間10分

入山前や下山後の移動時間まで考えれば余裕を持った方がいいなということで、今回はまったり登山を楽しもうということで3つ目の案で行くことにした。

塩見小屋はテント場がないが、三伏峠小屋はテント泊も可能なので、テント泊を楽しむことにした。

3つ目の案で小屋に宿泊すれば、体力に自信がなくても塩見岳への登山が楽しめるだろう。あとは自分の体力との相談で行程を決定する。

実際の僕が歩いた行程は2日目は塩見岳だけだと時間余裕があるので、蝙蝠岳まで歩き、3日目は下山だけでは物足りないので小河内岳まで歩いた。

駐車場

鳥倉駐車場を使用する。20〜30台は駐車できる。駐車場から鳥倉登山口までは3kmほど舗装された林道を歩く。

また鳥倉駐車場にはトイレも整備されている。水は出ない。

9月10日12時ごろの様子。まだ余裕がある。

ここが満車の場合は1.2km手前にある第2駐車場を使うこともできる。舗装路を歩く距離が増えるのは少々疲れるが、十分は駐車スペースはある。

9月10日12時頃の様子。この日は駐車されている車はなかった。

アクセス

鳥倉林道へ入る道は国道152号をまっすぐ走っていると看板が建てられているので、曲がるところはすぐにわかる。進むとすぐに急な坂になる。その坂の斜度は滅多にお目にかかれないくらいの急な坂である。

林道に行く途中にも看板があるので、迷わずに進むことができる。

急な坂からしばらく行くとつづら折りは続くものの、穏やかな林道に変わってくる。

林道はセンターラインのない道路としては広めで、整備されていてとても走りやすい。横から木が伸びていたり、路面に砂利が散乱しているところはほとんどなかった。

一部に舗装が剥がれて砂利になっているところや、段差になっているところがあったりするので、その辺りは必要である。

バイク乗りからするととても走りやすかった。車のすれ違いは少々困難なところもあるかもしれないが、基本的には道は広めなので、ほとんどの場所ではすれ違いは難しくはないだろう。

ただ林道はかなり長いので、林道の運転に慣れていない人はかなりストレスがかかるだろう。狭い道が苦手な人は運転を避けた方がよいかもしれない。

この林道を通るのは登山者が多いと思うので朝早くに通れば、ほとんど登りの一方通行になり、すれ違いはないのではないかと思う。朝から下る人もいるとは思うので保証はできない。

林道を登っていく途中にも景色も綺麗なところがあり、見逃せない。

ちなみに鳥倉林道に入る前に国道152号沿いの「道の駅 歌舞伎の里 大鹿」に立ち寄ってそばを食べた。前の山を眺めながら食べるそばはうまかった

正面に見える山は青田山(標高1707.7m)か?
道の駅「歌舞伎の里大鹿」ウェブサイト
道の駅歌舞伎の里大鹿へようこそ

テント場

テント場は1500円で1泊できる。三伏峠小屋で受付をしている。今回は2泊したので3000円を支払った。2022年9月は予約は不要だった。

段々畑のように整備されたテント場で数十張はテントを設置することができる。端っこの方は草が繁茂していて、その上に設営することになる。

また雨の場合はテント場が水の通り道になる場所があるので、そこは避けたほうが無難である。僕は水の流れる付近に設営してしまい、テントの中でその上はふまないように気をつけた。

2022年9月10日16時頃。まだまだ余裕のあるテント場。

塩見小屋はテント場はないので、テント泊をするのであれば三伏峠小屋のテント場を使用することになる。

水場まではなかなかの下りで標高差にして70mほど下る。往復で20~30分以上はかかる。普通の登山道なので、何度も水がほしいからといって往復するのはキツイ。一度の補給で十分な量を確保したい。

熊よけのためか常にラジオがかかっている。

登山コース・コースタイム

1日目のコースは以下の通りだ。三伏峠までの登りだけの楽々登山だ。

標高差

おおよそ標高差900m程度を登る。三伏峠は標高2500mを超えるので、さすがに空気が薄い。

鳥倉駐車場(標高1650m)→三伏(さんぷく)峠(標高2580m)

僕は今回テントを背負っての登山なので、荷物が多くリュックの重さに逆らいながらの標高差900mを登った。

半日ほどで行程で登りだけで、下りはないので体力のある人であれば、物足りない登山になるだろう。体力に自信がなくても、それほど苦にならない行程であると思う。

登りにキツいところはなく、ほとんどはよく整備された登山道で歩きやすい。一定のペースでぼちぼち登っていれば、気づいたら三伏峠に着いているだろう

僕が今まで経験してきた中でも、かなり歩きやすい方の登山道だった。

登山道が崩落している箇所があるので、注意して慎重に進む方がよい。必要以上に心配するような崩落ではないが、そのような場所もあると知っていただきたい。

三伏峠は日本一標高が高い峠といわれるが、静岡側からの道は廃道になっているらしく、もはや峠と呼べるのかはあやしい。しかし歴史的に峠だったのであれば、峠と呼ぶしかないだろう。

疲労度・危険度

毎回、独断と偏見で疲労度と危険度を評価している。

疲労度★~★★★★★(★1個が最も楽)、危険度★~★★★★★(★1個が最も安全)。上記の疲労度、危険度からすると今回のコースは以下のとおりである。

鳥倉駐車場~三伏峠小屋までのコースを評価する。

疲労度★★
危険度★★

疲労度については三伏峠までは4時間ほどの行程なので、山歩きに慣れ親しんでいる人であれば特に何の問題もないだろう。最初から最後まで登りなので、その点は覚悟して登りたい。

地形図上は等高線が急になっていて急登なのかと思っていたら、よい感じにつづら折りの道が作られていたので登りやすい。

危険度については崩落箇所があるものの、その他はかなり歩きやすく危険箇所はない。快適な山歩きを楽しめる。僕は結構気に入った。

登山コース

鳥倉駐車場→鳥倉登山口→三伏峠 コースタイム3時間50分ほど

鳥倉駐車場には林道のゲートがある。このゲートの脇から登山開始だ。ここを間違える人間はそういないだろう。

右の建物で登山届を投函していざ出発する。ここからは小1時間の林道歩きだ

林道からは山の姿が見え隠れする。この時点でかなり楽しい。これからの景色はどのようなものかに期待が高まる。

橋も渡って進んでいく。林道ゲート以降の道も整備されており、県の車両が普通に通行していた。

しばらく歩くと未舗装路に到達する。ここまで来ると登山口は近い。もう少し歩けば本格的な登山が始まる。

鳥倉登山口に到着した。ここにも簡易のトイレが整備されている。

登山口には折りたたみ自転車が駐輪されている。登山口までの歩きが長い場合は自転車を導入するものラクだろうと思う。特に帰りは乗ってるだけで駐車場まで行けるのは羨ましさを感じる。

最初はカラマツの林を登っていく。そこそこ急な登りなのでペース配分はゆっくりと行きたい。急な登といえど、ゆっくり登れば大したことはない。

登山道はつづら折りに整備されているので、登りやすくなっている。

さらにしばらく登っていくとシラビソの森へと変わっていく。普段は鈴鹿の山を歩く僕にとって日本アルプスの山の植生を見ることは嬉しく、楽しい。

毎回思うことではあるが、シラビソの森は独特のとてもよい匂いがする。本来は植物が外敵を避けるために分泌しているフィトンチッドらしいが微量なので人間にとっては、ちょうどいい刺激になるみたいで心地いい。

この匂いを嗅ぐたびに、何度でもシラビソの森に帰ってきたいと思うようになる。

白っぽい樹皮も美しい。

ここからは木の橋がかかっているところが連続する。靴底の質によっては滑りやすいので、注意して歩く。橋がかかっているだけあって、橋の脇は急な斜面になっている。

森の中をひたすら進む。よい匂いのする森の間を歩くためにここに来たのだと、亜高山の樹林帯を歩くたびに思う。

そして道は歩きやすい。この登山道を作った人は天才か?

途中に「ほとけの清水」という水場がある。ここで水を少々補給する。水量は問題なく流れていた。三伏峠小屋の水場は少々遠いので、ここで補給しておいたほうよいと思う。

コケとキノコがいい感じに育っていた。小さく美しい自然も見逃さないようにしたい。急いで歩くと見落としがちなので、ゆっくり歩くようにしたい。

コケはコウヤノマンネングサかと思う。

鳥倉登山口から三伏峠小屋までは「9/10」といったように看板がかかっている3時間ほどの行程なので、20分に1回ほどは看板があるので、どれくらい進んでいるかよくわかる。

三伏峠に到着した。少々雨にも降られたが、小屋につくと安心感がある。イージーな登山道とはいえ登山中は人間とは隔絶されている。その後にやはり人の温かみを感じると安心する。

トイレもきれいに整備されている。宿泊者でなければ、トイレの利用料がかかる。

手洗いに利用できる水場などは峠にはない。テント場からしばらく下ったところに水場はある。

三伏峠小屋はきれいなので小屋に泊まるのもよかったなと思いながら、テント泊の受付をする。ネット情報だと2000円だったが、1500円で1泊だった。

明日の行程、明後日の行程を記入して、受付が完了した。

到着してしばらくすると、あたりが暗くなり始め、テントの中で明かりが灯る。テント場のこの光景を見るのが好き。

山のテント場で寝るのは、夜の静けさ、明け方になるにつれて鳴き出す鳥の声、朝の澄んだ空気など、山の一日を感じるのに非常によい体験であると思う。

何度体験しても再度体験したい。そんな気持ちのよい体験である。キャンプでも似たような経験はできるが、山の上でのテント泊はまた一味違う。

日本の登山黎明期(明治から大正、昭和)に登山者であった田部重治は以下のように言っている。

山に登るということは、絶対に山に寝ることでなければならない。

『山と溪谷 田部重治撰集』の「山は如何に私に影響しつつあるか」(kindle位置: 2,931)

ここからさらに山の水を飲み、山のものも食べないといけないと続くが、寝るだけでも、絶対にするべきだと思う。

今日もお疲れ様!

総括

1日目は三伏峠までの行程で4時間も歩いていなので、特に疲労せずにつく事ができた。とはいえ、車などで登山口まで向かうのも登山の一部として体力を消耗する。

あまり行程を詰め込みすぎないことが登山を楽しむコツなのではないかと思う。ゆっくり登り始めて、余裕を持ってテント場に到着して、ゆったりとしたテント場の時間を楽しむのは贅沢な遊びだと思う。

2日目の塩見岳登頂を楽しみにこの日は就寝した。

ちなみに今回3日間の食料は次の写真のものを持っていった。

野菜とか持っていけるといいなと思いつつ面倒なのでしない。

10,000kcalを用意した。1日に3,000kcal以上食べられる計算で、結果的には余ったが十分な食料を持っていくことは安心感にもつながるので重要だ。

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